バイオフィルムを知ろう

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「バイオフィルムについて」です。

バイオフィルム

歯ブラシなどのコマーシャルで、最近は「バイオフィルム」という言葉を聞くことも多いですが、それがなにかわかっているかというと、実際にはうまく説明できなかったりする方もいらっしゃるかと思います。

「バイオフィルム」という言葉は、医療や歯科分野の専門用語ではなく、細菌や微生物の研究者たちから出てきた言葉で、さまざまな分野で使われています。われわれの日常生活においてもいろいろな場面で見かけます。例えば、台所やお風呂のヌルヌルした汚れがそうですし、水を入れ替えないでいた花瓶の中側や、川の石についているヌメリとした膜などがバイオフィルムで形成されています。
バイオフィルムは、固いものの表面に微生物が何層も積み重なってヌルヌルとなったものです。そしてバイオフィルムはただの微生物の集まりではなく、集まることで環境が整えられ、微生物たちが居心地よく住めるような構造になっています。内部に水道管のような水路を備えているものもありますし、微生物の分泌物で作られた脂質や多糖体の膜であるヌルヌルやネバネバが表面を覆うことで、殺菌剤や抗菌剤などの彼らにとって「敵」から身を守る役割を果たしています。

バイオフィルムは、環境浄化システムなどで我々の生活に貢献してくれる一面もありますが、配管にバイオフィルムを作り、大腸菌やレジオネラ菌の温床となったり、心臓のペースメーカーやコンタクトレンズについて、感染症を引き起こしたりする負の側面も持ちます。そして、歯周病やむし歯もバイオフィルム感染症といわれるくらい、バイオフィルムと深く関わっているとされています。

台所のヌルヌルが、簡単には落ちなくて、たわしなどでこすってようやく落とせるのと同じように、お口のなかにできているバイオフィルムも、うがいや洗口剤では簡単には落ちません。さらに歯ブラシの届きにくい、歯と歯の間や歯と歯茎の境い目、詰め物やかぶせ物のまわり、入れ歯や差し歯の継ぎ目やすき間といった場所にバイオフィルムはできるので、ブラッシングでも完全に落とすことはできません。この問題を解決するために、歯科医院の定期検診を受けて歯のクリーニングをやってもらうことをおすすめします。器具や専用の歯ブラシを使ってバイオフィルムをこそげ落とします。慣れないうちは場所によっては痛みを感じるかもしれませんが、慣れればスッキリ感があって、気持ちがいいほどです。

定期的に歯のクリーニングをしてバイオフィルムを除去しましょう。