歯の「神経を抜く」とは

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『歯の「神経を抜く」とは』です。

むし歯が悪くなって、歯髄の部分まで侵してしまいひどく痛むときには、一般に「神経を抜く」と言われる抜髄処置(ばつずいしょち)という方法をとることがあります。刺激によって痛みを感じる神経そのものを取り除くので痛みはなくなるし、歯も残るので良い処置のようですが、弊害もいろいろあります。

抜髄処置は神経だけでなく歯髄を取り除く治療なので、神経とともに毛細血管、リンパ管なども失われます。これらの働きは歯へ栄養を供給したり、象牙質を造ったり、むし歯菌が歯に侵入しようとするのを防ごうとする、などというものです。

歯髄を取ることで失ってしまう毛細血管、リンパ管などが果たしていた、歯への栄養供給やむし歯に対する防御機能などが働かなくなってしまいます。結果として、神経を抜いた歯はつやを失い黑ずんできたり、歯の強度も弱くもろくなってしまいます。さらに神経を取ったことで痛みを感じなくなってしまうので、再びむし歯になったときに気がつくのが遅れてしまうケースもあります。また、歯髄を取った後に行う根管治療では、歯髄を取った空洞を徹底的に清掃・洗浄・消毒したあと詰め物をします。しかし長い時間が経つとまた細菌に感染してしまうリスクもあります。

ここまで見てきたように神経を抜いた歯では、神経が残っていて生きている歯とはいくつかの点で違いがありますので、その状況にあわせた気遣いをする必要があります。強い力でくいしばったり、堅いものを噛んだりすると、歯の根の部分にヒビが入ったり、折れてしまったりするリスクがあります。くいしばらず、噛むときはほどほどの力で噛むような意識を持ちましょう。
さらに、むし歯になっても痛みを感じないので気づくのが遅れてしまうということに対しては、従来以上にブラッシングなどのケアが重要になります。見えない部分がむし歯になってしまう危険性もあります。歯科医院で定期検診を受けて早期発見に努めるのが良いかもしれません。治療した歯であればこそ、いたわる気持ちをもつことが大切です。

一本でも多くできるだけ長く歯を残す、という考えのなかで「神経を抜く」治療はその最後の選択肢のひとつであり一般的な治療として行われています。一本でも多くの歯を残して少しでも長く健康でいたいという願いのあらわれなのです。