歯の話」カテゴリーアーカイブ

⼩児矯正の基礎知識1

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『小児矯正の基礎知識1』です。

「歯の矯正をするならお子さんが小さいうちに」と考えられているお母さんも多いと思います。しかし実際のところ、「なんで小さいうちがいいの?」と言われると「?」となって、詳しいことはわからないという方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。おさえておきたい情報をまとめてみましょう。

矯正するのはなんのため?

一番の目的は「歯並びをきれいにしたい」ということになります。「出っ歯」や「受け口」のせいで消極的になったり、それらを原因としていじめにあうこともないとは言い切れません。歯並びがよくなればそういった心配は減ることでしょう。矯正治療には他にもいろいろなよい影響があります。その一つはかみ合わせがよくなることです、かみ合わせがよくなると、以前より食欲が出たり、発音もよくなる例があります。かみ合わせが原因であごや頭が痛かったり、肩こりになっているのであればそれらも治すことができるかもしれません。
ほかにも歯並びがよくなることで歯みがきがしやすくなって、その結果として、むし歯や歯周病といった歯の病気に悩まされる確率も低くなります。このような矯正治療の効果を皆さんがだんだんと知るようになって、矯正治療を受けたいという方が増えてきています。矯正治療を受ける方が増えているのには、もう一つ別の背景も考えられます。

それは日本人の食生活の変化です。ハンバーガーなどのファストフードや麺類、ケーキやドーナツのようなお菓子類など、柔らかくてよくかまなくても飲み込めてしまえる食べ物がより好まれるようになりました。また塾や習い事で忙しくしている現代の子どもたちは十分な食事時間が取れないことも多いです。それらの要因が重なってかむ回数が減って、あごが十分に成長しない子供たちが増えています。見た目にはあごがすっきりした小顔の美男美女が増えた反面、小さくなったあごに、生えようとする歯が入りきらずに矯正治療の世話になっている、ということが起きているのかもしれません。

大人の矯正との違いは?

子どもの場合、まだ発育途上なので、歯の調整だけでなくあごの骨もある程度コントロール可能です。そのため治療の選択肢が増えることが大人の場合との大きな違いです。例えばあごに歯が収まりきらないときに、歯を抜くしか方法がないのか、それともあごを広げて収まるようにすることを検討できるか、というようなことです。ただし、ヒトの発育成長は、複雑で精巧な仕組みになっており、人間のちからで完全にコントロールすることは困難ですし、もちろん個人差もあります。

矯正相談(毎月最終水曜)

矯正相談(毎月最終水曜)

⽩い⻭で印象アップ

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『白い歯で印象アップ』です。

「色の白いは七難隠す」とは、おもに肌のことをいうのかもしれませんが、歯の白さも美しさのひとつとして気にされる方も多くいらっしゃっると思います。美への関心の高まりとともにホワイトニング(漂白=ブリーチング)治療を行なう歯科医院も増えています。
歯のホワイトニングとは人工のものを取り付けることなく、また健康な歯を損なうことなく、歯そのものを白くする治療のことを言います。
歯が白さを失って変色してしまう原因はさまざまで、主なものとして、

  • 色素やヤニの沈着による変色…コーヒー、紅茶、赤ワイン、コーラ、カレーなどの飲食物やタバコのヤニ
  • 加齢による歯の黄ばみ
  • むし歯などの病気、外傷、抗⽣物質など薬剤の副作用 などがあります。

ホワイトニング治療で効果が出ることが多いとされるのは、このなかで、飲食物の色素の沈着や喫煙者のタバコのヤニ、加齢による黄ばみなどです。
残念ながら、むし歯による変色や薬の副作用が原因の変色はとれにくいかもしれません。その場合は人工物を貼り付けたり、かぶせたりする治療になりますが、ラミネートベニアやオールセラミックスクラウンなどを考えざるを得ないかもしれません。

ホワイトニングの方法としては、大きく二通りあります。家庭で行うホームブリーチングと歯科医院で行うオフィスブリーチングです。両方を併用すると効果的です。
ホームブリーチングでは、それぞれの患者さんの歯にあったカスタムトレー(マウスピース)を歯科医院でつくり、そのなかに薬剤を入れでお口につけ、薬剤をしみこませて漂白します。
オフィスブリーチングでは、過酸化水素水を含んだペーストを歯の表面に塗布して起こる化学反応と、さらに可視光線やレーザーを照射して、より活性化させることで漂白します。治療時間は一回1時間前後で、1週間に1度くらいのペースで、1~2ヶ月くらいかけておこなっていきます。

ホワイトニングで使われる薬剤はオフィスホワイトニング、ホームホワイトニングどちらの場合も、消毒剤として使われている過酸化水素水・過酸化尿素が主成分ですので、人体に影響はありません。

ご結婚前に歯を美しくされたい方、加齢による黄ばみでお悩みの方、営業のお仕事などで人に会って話をする機会が多い方などは、白い歯で印象をアップできるかもしれません。

歯の寿命

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『歯の寿命』です。

「人生六十年」と言われていた日本人の寿命がいつのまにか「人生八十年」と言われるようになって、いまや「人生百年時代」と聞くようになりました。ヒトの人生には寿命がありますが、歯の寿命はどうなっているのでしょうか。

歯という器官それ自体は、年齢を重ねてもあまり大きく変化はしません。歳とともに黄色っぽくなったり、黒ずんできたり、長い間の酷使で摩耗してしまうことはあります。しかし歯が本来持っている働きができなくなり死んだ状態、すなわち寿命が尽きる、ということはありません。そのように考えると「歯には寿命がない」と言えるかもしれません。現実にはむし歯や歯周病によって、抜けてしまったり、歯医者さんに抜いてもらったりする歯もあると思いますので、いろいろな事情でその歯がなくなった時点を寿命というのが良いのかもしれません。

その意味での歯の寿命においては、歯の種類(中切歯、犬歯、大臼歯など)によって、かなりの差があると厚生労働省の調査にあります。寿命の短い歯は50歳くらいで長い歯で66歳くらいと隔たりがあります。

寿命が長い歯は犬歯だそうで、その理由は噛むときにあまり力がかからないことと歯の根が長いことだと推測されます。逆に最も短い歯は第二大臼歯です。奥歯のなかでも一番奥の歯のことで、噛むときに大きな力がかかることと、ブラッシングのときに歯ブラシが届きにくく、きれいに磨けない部分が残りがちであることが理由だと考えられます。

人生100年時代が来ようとしているのに対し、全部の歯の平均寿命は60歳くらいです。この大きな差は、完全とはいえない不自由な歯の状態で、長い老後を過ごしている方が多いということの表れと言えます。

人の寿命はずいぶん長くなりました。今後も伸びることはあるでしょうが、すぐに人生150年となることはないでしょう。その一方で、歯の寿命に関しては、ちょっとしたがんばりで比較的簡単に伸ばすことが可能です。からだの器官のなかでも歯は特に丈夫にできていて、先に書いたように歯それ自体が年齢によって衰えるということはないからです。歯の寿命を延ばすには、寿命を尽きさせてしまう病気、むし歯や歯周病から歯を守ればよいのです。

歯を一本でもたくさん残すことは、おいしいものを美味しく食べたり、見た目の美しさを演出するだけではなく、体中のさまざまな器官の健康に影響を与えます。残存歯の数と全身の健康や疾病との関連も進んできて、いろいろなことがわかり始めています。歳をとれば歯が抜けるのは仕方ない、とは考えずに、日ごろのケアに励んでいただき、長寿と健康を実現することを目標としましょう。

⼝腔がんを知ろう

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『⼝腔がんを知ろう』です。

「がん」といえば、「胃がん」や「肺がん」「大腸がん」「乳がん」などを聞くことが多く、「口腔がん」とは耳慣れない「がん」かもしれません。たしかに、口腔がんは、他の有名ながんと比べるとそのなかで占める比率は小さいのですが、恐ろしい病気であることには変わりありません。
口腔がんはお口のなかにできるがんの総称で、

舌がん
舌にできるがん
口腔底がん
舌の歯ぐきの間にできる
歯肉がん
歯ぐきにできる
頬粘膜(きょうねんまく)がん
頬の内側粘膜にできる
硬口蓋がん
上あごにできる
口唇がん
唇にできる

などがあります。発症率は年々増加していて、そのなかでは、舌がんが一番多く、口腔底がん、歯肉がんの順になっています。
口は、ものがからだに入るときの入り口です。食べ物だけを見ても、熱かったり、辛かったり、硬かったり、尖っていたりするものがあるうえ、アルコールやたばこなど刺激の強いものも口を経ます。お口のなかはいろいろな刺激でいつも傷つきやすい環境にあります。

そのような刺激を受けても、普通は十分に回復できる力を我々は備えているのですが、何度も何度も繰り返し何年も何十年も刺激を受け傷害を受け続けると十分に回復できなくなり、がん発生の原因になってきます。
むし歯や入れ歯が舌などにあたって刺激を与え続けることも、発がんの原因になりますし、お口のなかの衛生状態が良くなく、なんらかの粘膜の障害が常にあるようだと、これもまたがん発生母地となります。
しかし、ここまで見てきていただいてわかるように、口腔がんの場合、その発生は主に外部からの要因となります。したがって、食事の摂りかたや嗜好品の楽しみ方など生活習慣の部分と、お口のなかを清潔にし、良好な状態を保つことができれば、口腔がんの発がん確率を抑えることができます。
口腔がんもほかのがんと同様に、早期発見と早期治療が大切です。以下のような症状が出たときは、はやめにかかりつけ医に相談しましょう。

  • 口のなかに痛みがあり、続いている
  • 口内炎がなかなか治らない(2週間以上)
  • 原因不明の出血がある
  • 口のなかに腫れやしこりがある
  • 舌、頬、歯ぐきなどが赤くなっていて、沁みたり痛かったりする
  • 口のなかの粘膜が白くなった
  • あごが腫れて入れ歯が合わなくなった
  • 鼻の片側にだけ鼻づまりがある

自治体や歯科医師会が、口腔がん検診を行っている地域も多くなっています。機会があれば受診されることをおすすめします。

お口のなかの金属アレルギー

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『お口のなかの金属アレルギー』です。

身につける金属に反応して、湿疹やかぶれ、かゆみなどが起こるのが金属アレルギーです。女性の場合であれば、指輪やピアス、男性であればベルトの金具や時計などに反応するのが一般的です。歯科でも金属を使うことから、歯科医療においても金属アレルギーは注意しなければいけないことがらです。
歯科医療での金属といえば、詰め物やかぶせ物に使われます。これらが金属アレルギーの原因となることがあります。

金属がイオン化してからだのなかに入ると人体は本来持っている免疫力で抗体を作ります。抗体が作られたあと、その金属がからだに入ると拒絶反応を起こします。そのときに金属を異物として外に出そうとするなどして、からだにも炎症やかぶれなどの症状が出ることがあります。これが金属アレルギーが起こるメカニズムです。
歯科医療においては、詰め物やかぶせ物に使われた金属が口のなかに溶け出しイオン化したものが金属アレルギーを引き起こします。
花粉症の場合に、去年まで何ともなかった人が、今年になって突如発症したりすることがります。金属アレルギーにおいても、今までは何ともなったのに突然症状が出たりすることもあります。また、症状が出る場所も口のなかばかりではないこともあります。これらの場合のように、口のなかの金属が原因だと分かりにくいケースもあります。

歯科での金属アレルギーのリスクを低くするために、以下のような方法が取られています。

  1. 溶け出しにくい金属を使う。溶け出しやすい金属としては、ニッケル、コバルト、パラジウムなどがあります。逆に溶け出しにくいのは、金、銀、プラチナ、チタンなどです。
  2. できるだけ同じ種類の金属を使う。数種類の違う金属があるとアレルギーを起こしやすいという調査結果があります。
  3. 金属を使⽤しない。金属の代わりにセラミックなどの素材を使います。
    金属アレルギーが発症してしまった場合は、原因となった金属を特定して取り除き、その後はその金属を使わないことでアレルギーを鎮め、再発しないように努めます。

アレルギー全般において、その発症を事前に予見することは非常に難しいとされています。せめて日ごろから、ご自分の体質はどのような特徴があるか把握するように心がけましょう。

⻭列矯正~見た目以外のあんな効果、こんな効果~

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『⻭列矯正~見た目以外のあんな効果、こんな効果~』です。

歯列矯正と言えば、「歯並びをきれいに」とか「口もとを美しく」など、見た目の効果が強調されがちです。しかし、他にもいろいろな効果があります。
ひとつめには、かみ合わせの改善がもたらすメリットです。かみ合わせが正しくなると、消化機能が高まり食べ物がいっそうおいしく感じられるようになります。また、発音もしやすくなります。歯並びが良くなれば、歯みがきも楽になりよく磨けるので、むし歯や歯周病も減ります。あごの痛みや頭痛、肩こりが治ったという方々もいらっしゃいます。その人たちの痛みの原因は、かみ合わせの不具合だったのでしょう。
もうひとつ大きいことがあります。きれいな歯並びが精神的なコンプレックスを取り除いてくれれば、自信のある明るい生活ができるようになるということです。

さて、次の4つのタイプの歯並びの場合は、歯列矯正が必要となります。

  1. 上顎前突(出っ歯)
    ボールがあたって歯を折ったり、唇を切ることもあります。
  2. 反対咬合・下顎前突(うけ口)
    1.とは逆に下のあごや歯が上あごより前に出ている状態。
  3. 開咬
    奥歯は噛んでいても、前歯がかみ合わず開いている状態。
  4. 叢生(八重歯・乱ぐい歯)
    犬歯が飛び出して、八重歯になったり、歯の向きが違うほうを向いていたりしている状態。

歯は骨としっかりくっついていて、簡単に動くようには見えません。しかし弱い力でも持続的に加え続けることで、案外簡単に動いてしまいます。例として、口呼吸のクセがあり口が常に開いている状態の人は、出っ歯になってしまうことがあります。指しゃぶりの習慣がいつまでも抜けないと、出っ歯や開咬になる恐れが高くなります。抜けた歯のあとを何もせず放っておくと、両隣の歯が抜けた歯の方向に傾いてくるのも同じ理由です。この原理を利用して思った方向に歯を移動させるのが歯列矯正です。1~2、3年(長いときには4、5年)の間、器具をつけて歯を固定し、時間をかけてゆっくり動かしていきます。

歯列矯正は、治療期間も長く、保険がきかないため費用もかかります。矯正した歯が元の位置に戻ってしまうあと戻りなどのトラブルが起こることもあります。治療することを決断する前に医師との話し合いの時間は十分に持ちましょう。矯正によってどこまで治るのか、かみ合わせはどうなるのか、あと戻りの可能性はどうか、などについても説明を受け、納得してから治療に入られることをおすすめします。

矯正相談(毎月最終水曜)

矯正相談(毎月最終水曜)

もっと知りたい親知らず

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『もっと知りたい親知らず』です。

その名の由来は「親が子供の歯への関心が薄くなったころに、知らないうちに生えてくるから」と言われたり、「(昔は短命だったので、)親が亡くなってから生えてくる親を知らない歯」という説もある「親知らず」。今回は、その意外と厄介な親知らずについてです。
ご存じのとおり奥歯の一番奥にはえる第3大臼歯(智歯)のことを親知らずといいます。
上下4本はえるこの歯は、永久歯28本のうちには入りません。
顎がコンパクトになりつつある現代人においては、はえる場所が少なく、正しくまっすぐにはえないことが多い歯です。傾いて前方にはえたり、歯の一部だけが顔をのぞかせていたり、横向きにはえているかと思えば、存在はするもののあごの骨のなかに潜って表面には出てこないこともあります。
結果として、親知らずが歯肉を噛んでしまったり、複雑なはえ方のあまりブラッシングがうまくできなくて、むし歯や周囲炎になりやすくなったりします。またはえ方によっては、他の歯を押して歯並びやかみ合わせに影響を及ぼすことがあります。

親知らずに起きるトラブルとして智歯周囲炎があります。親知らずがうまくはえなかった場合、歯の一部が口のなかに出てきて、残りの部分は歯肉に覆われている状態になります。そのとき歯と歯肉の間に深い袋状のすき間ができてしまうことがあり、このなかで細菌が繁殖してまわりが炎症を起こすという病気です。下の歯の親知らずは、まっすぐ生えにくいことから、智歯周囲炎を起こすことが多くあります。
親知らずは抜かないといけないかというと必ずしもそうではありません。まっすぐにはえ、噛み合う歯がある場合は、そのままで構いません。きれいに磨けているのであれば、噛み合う歯がなくても残しておいてもよいです。のちのちブリッジや入れ歯、移植に使えるかもしれません。
しかし、そのようなケースに当てはまらないときは、かみ合わせや周囲の歯への影響を考慮して抜いてしまった方が良いでしょう。痛みがなくても早めに処置することをおすすめします。痛くなってからだと麻酔も効きにくいし、抜いた後の痛みや腫れも長引くことが多いからです。
また、女性の場合は、妊娠時のつわりで十分栄養が取れないときや授乳期で夜眠れないときなどに、智歯周囲炎の痛みが出ることもあります。治療に際して、お子様への影響を考えると薬の投与もままになりません。

かかりつけの歯科医師と相談して、妊娠前に親知らずも含めてお口まわりの不安を取り除いておきましょう。

歯の「神経を抜く」とは

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『歯の「神経を抜く」とは』です。

むし歯が悪くなって、歯髄の部分まで侵してしまいひどく痛むときには、一般に「神経を抜く」と言われる抜髄処置(ばつずいしょち)という方法をとることがあります。刺激によって痛みを感じる神経そのものを取り除くので痛みはなくなるし、歯も残るので良い処置のようですが、弊害もいろいろあります。

抜髄処置は神経だけでなく歯髄を取り除く治療なので、神経とともに毛細血管、リンパ管なども失われます。これらの働きは歯へ栄養を供給したり、象牙質を造ったり、むし歯菌が歯に侵入しようとするのを防ごうとする、などというものです。

歯髄を取ることで失ってしまう毛細血管、リンパ管などが果たしていた、歯への栄養供給やむし歯に対する防御機能などが働かなくなってしまいます。結果として、神経を抜いた歯はつやを失い黑ずんできたり、歯の強度も弱くもろくなってしまいます。さらに神経を取ったことで痛みを感じなくなってしまうので、再びむし歯になったときに気がつくのが遅れてしまうケースもあります。また、歯髄を取った後に行う根管治療では、歯髄を取った空洞を徹底的に清掃・洗浄・消毒したあと詰め物をします。しかし長い時間が経つとまた細菌に感染してしまうリスクもあります。

ここまで見てきたように神経を抜いた歯では、神経が残っていて生きている歯とはいくつかの点で違いがありますので、その状況にあわせた気遣いをする必要があります。強い力でくいしばったり、堅いものを噛んだりすると、歯の根の部分にヒビが入ったり、折れてしまったりするリスクがあります。くいしばらず、噛むときはほどほどの力で噛むような意識を持ちましょう。
さらに、むし歯になっても痛みを感じないので気づくのが遅れてしまうということに対しては、従来以上にブラッシングなどのケアが重要になります。見えない部分がむし歯になってしまう危険性もあります。歯科医院で定期検診を受けて早期発見に努めるのが良いかもしれません。治療した歯であればこそ、いたわる気持ちをもつことが大切です。

一本でも多くできるだけ長く歯を残す、という考えのなかで「神経を抜く」治療はその最後の選択肢のひとつであり一般的な治療として行われています。一本でも多くの歯を残して少しでも長く健康でいたいという願いのあらわれなのです。

歯ぐきの腫れと出血

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「歯ぐきの腫れと出血」です。

リンゴをかじったときに歯ぐきから血が出たり、歯みがきをして歯みがき剤を吐き出したら血が混じっていたりと、歯ぐきからの出血で心配になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、どこから出血しているか、またその原因はなにか、よくわからないことも多いと思います。歯ぐきの腫れと出血についてまとめてみました。

ひとくちに歯ぐきから出血した、歯ぐきが腫れている、といっても、いろいろな原因が考えられます。多く見られるケースではやはり歯周病でしょうか。歯周病では歯周病菌が原因で歯ぐきに炎症を起こします。
多くの人が罹りますが、よほど進行するまで痛みもないので気づかずに見落としがちです。しかし、初期の段階の歯周病であれば、ご家庭でのブラッシングと歯科医院でやってもらう歯石取りなどのクリーニングで治すことができます。

気づかずに放っておいて、深い段階まで進んでしまうと外科的な措置が必要となったり、歯がぐらつくようになって、しまいには歯が抜けてしまう厄介な病気です。早めの発見と処置が大切なので、正しいブラッシングを身につけ、歯科医院で定期検診を受け、予防に努めましょう。
歯ぐきの腫れや出血について起こりうる別の原因のひとつに、歯の根の病気があります。むし歯が進行して歯の髄まで達してしまった場合や神経を抜いたあとに細菌が入り込んでしまった場合などに、根の部分が炎症を起こし、それが原因となって歯ぐきが腫れたりするケースです。
歯の根の部分の汚れを取り除く治療が必要ですが、そこは細くて複雑なかたちで、かつ見えない部分なので、汚れを完全に取り除き、そのあとを消毒・封鎖するという治療は難しいものとなります。数回から数カ月の期間がかかる根気のいる治療です。

ほかに歯ぐきが腫れたり出血したりする原因としては、口内炎、力の入りすぎた不適切な歯みがき、歯を抜いたあとにできるくぼみがふさがらずに腫れるドライソケット、歯肉ガンなどがあります。白血病などといった歯ぐきとは直接関係のない全身疾患とのかかわりで起こることもあります。

歯ぐきの腫れや出血といっても、このようにさまざまな原因が考えられます。過剰に心配する必要もありませんが、安易に自己診断することは止めましょう。
また、口内炎がそうであるように少し時間が経つと治まってしまうことも多く、様子見になってしまうことも多いかもしれません。 重大な疾患が隠れていないとも限らないので、1週間程度してもよくならないような場合は、歯科医院で診てもらいましょう。

歯周病を測る~歯周ポケット測定~

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「歯周病を測る」です。

歯周ポケット測定

「音もなく忍び寄る」などと言うことがありますが、歯周病は「痛みもなく忍び寄る」病気です。しかも「ゆっくり忍び寄る」ので、気づくのが遅れがちです。ですから、ご家庭でのブラッシングや、取り切れない歯垢や歯石は歯科医院で除去してもらう、などのプラークコントロールで「予防する」ことが重要です。「歯周ポケット測定」は、歯周の状態を数値であらわせるので、定期的に測定することで歯周病の予防と早期発見を可能にします。

歯周ポケットは、歯肉溝(歯と歯肉の間の溝)が、歯周病により、溝が深くなってしまいポケット状になっている状態を指します。歯肉溝そのものを歯周ポケットと呼ぶこともあります。歯周ポケットの深さは、歯と歯茎の状態が健康であれば通常1~3ミリ程度です。それが、中程度の歯周炎になると3~5ミリ、進行した重度の歯周病では6ミリ以上になります。長い歯の根でも10数ミリであるので、6ミリ以上の溝があると、グラつきなど不安定な感じになるであろうことは、おわかりいただけると思います。

歯周ポケットが何ミリの深さか、ということは自分でわからないでしょうし、測ることもできません。歯科医院に行って「ポケット探針」「ポケットプローブ」と呼ばれる専用の器具で測定します。細い針状の器具で目盛りがついており、これを歯と歯茎の間に入れ、溝の深さを測ります。表裏、端寄り、中央など1本の歯で4~6か所測定します。出血やグラつきもチェックします。痛みは通常ありませんが、腫れがあるとチクッと感じることがあります。

歯周ポケット測定

歯周ポケットが4ミリ以上の歯についた汚れや歯石は、ご家庭でのブラッシングでは取り除くことができません。歯科医院で取り除きます。適切なブラッシングと取りきれない歯垢や歯石を除去する歯科医院での治療を続けていれば、歯周ポケットはだんだんと浅くなってきます。歯周ポケットが浅くなり、歯茎が締まって下がってくると、歯の根が見えてきます。少し心配かもしれませんが、歯茎の腫れが引いて健康な状態に戻ったということなので問題ありません。

歯周病の自覚症状は、かなり進行しないと出てこないので、状態が数字でわかる歯周ポケット測定は、歯周病予防に大きな役割を果たしています。