歯の話」カテゴリーアーカイブ

大人もむし歯ににご用心

大人が罹る歯の病気の代表格と言えば歯周病でしょう。しかしむし歯についても興味深いデータがあります。むし歯になる人を年代別に見たときに子供世代のむし歯は年々減っているのに対し、大人の場合は減っていないという数字が出ているそうです。歯を抜かずに残せることも多くなってきた歯科医療技術の向上もあって、大人のむし歯はむしろ増えているのです。
子供のむし歯の場合、むし歯になりやすいのは奥歯です。これは歯磨きがしにくく磨き残したところか
らむし歯が侵攻します。それに対し大人の場合は、「2次う蝕」と呼ばれるものと、「根面う蝕」と呼ば
れるものの二つが原因であることが多いとされています。


まず、2次う蝕(2次カリエス)ですが、これは治療済みの歯が再びむし歯になるという症状です。治療した詰め物や被せ物と歯の境目から、むし歯が入り込んでいくのです。境目は汚れがたまりやすいですし、治療後年数を経ると接着剤の劣化が起きたり、歯と被せ物との収縮率の違いからすき間ができたりして、そこからむし?になることがあります。
以前の治療の際に神経まで抜いている場合は痛みを感じませんし、被せ物の下でむし歯が進行しても、表?の詰め物や被せ物には変化が?られないので、気づいたときにはずい分深いところまで進行してしまっていることが多いのが特徴です。

次に根面う蝕です。これは歯と歯ぐきの間に歯肉炎や歯周炎などが原因で、すき間ができてしまい、むき出しになった歯の根元がむし歯になってしまうものです。
歯肉炎や歯周炎になっていない歯でも、年齢とともに歯ぐきは下がってしまい、むし歯になりやすくな
ります。
また誤ったブラッシングで歯ぐきを傷めて、根面が露出してしまうこともあります。歯の頭の部分=歯
冠が硬いエナメル質で覆われているのに対し、歯の根面は軟らかいのでむし歯になりやすく、今までと同
じやり方でブラッシングをしているはずなのに、むし歯になってしまったというようなことが起こったり
します。歯周病で腫れてしまった歯ぐきの下に隠れたままむし歯が進行していて、歯周病の治療で歯ぐき
の腫れが引いたらむし歯に気づいた、などという場合もあります。

2次う蝕や根面う蝕を防ぐにはどうしたらよいでしょう。大人のむし歯と言っても、一般的なむし歯や歯周病の予防と同じで、ご家庭でのブラッシングと歯科医院での定期検診が有効です。
天然歯に比べて詰め物・かぶせ物は汚れが付きやすいことを考えると、ブラッシングはいっそう丁寧に
行いましょう。歯間ブラシなどの補助器具を使って、歯根部分のプラークを取り除くのもよいでしょう。
定期検診で歯科医院に通うことは、クリーニングはもとより、専門家に診てもらうことで、気づきにく
い隠れたむし歯の早期発見・早期治療にもつながります。

指しゃぶりから卒業

ずっと治らないのでは…、と不安な気持ちにもなるお子さんの指しゃぶりですが、個人差はあったとし
ても成長とともに自然に治まるものです。
しかし、学校に進む年齢になってもやめられなかったり、できれば早い段階で指しゃぶりから卒業させた
いと、お考えになるお父さんお母さんもいらっしゃると思います。指しゃぶりを上手にやめさせる?法を
考えてみましょう。


最初に意識してほしいことは、指しゃぶりをやめさせるのにあたって、指しゃぶりを指摘して注意したり、叱ったりするのはお子さんにとって非常なストレスになるので、あまりよくないということです。
ひとつのアプローチとして、まず指しゃぶりのことを忘れさせてしまうことを考えてみましょう。日々の成長のなかで遊びで手を使うようになると、指しゃぶりはしないようになってくるので、手遊びをたくさん教えてあげるのはよい方法のひとつです。
また、本を読み聞かせするときはいっしょに本を持つようにするなど、手を使わせる工夫はいろいろ考えられると思います。
寝るときに指しゃぶりをするときは、手をつないで寝るようにするというのはどうでしょうか。指は使え
なくなるし、スキンシップで安らかな気持ちで眠れるでしょう。

こちらの言うことが理解できる年齢になれば、「指しゃぶりはあまりいいことではない」ということを言って聞かせるという方法もあります。
具体的に言うと
歯並びへの影響…「お話やお歌がうまくできなくなっちゃうよ」
自尊心・羞恥心に訴える…「赤ちゃんみたいだからだんだんやめていこうね」
衛生面…「手にはバイキンがいっぱいついているよ、なめると汚いんだよ」という感じでしょうか。
もちろん、指しゃぶりをしないよう気を付けている、指しゃぶりを我慢している、というお子さんには
「褒める」ということも大切です。

そういった工夫をしてもなかなかやめられないときは、指しゃぶり防止グッズもあります。指に着けて指しゃぶりの感覚が得られなくするものや、人体には無害ですが少し苦い味のするコート剤などもあります。

どの方法をやってみるとしても、お子さんにもご両親にもストレスとならないよう気軽な心持で取り組んでください。歯科医や小児科医もさまざまな例に対応できますので、かかりつけの先生に相談してみるのもよいでしょう。

予防と治療費

私たちを悩ませるむし歯や歯周病といった歯の病気を未然に防ごうという予防歯科ですが、最近ではかなりその認知度も高まってきました。一方で、実際に歯の定期健診を誰もが受けているか、というとそこまでは至っていないのが現状です。
予防歯科として歯の定期検診を受けようと思ってはいても、忙しくて行く時間が取れないとか、3ヶ月ごと、半年ごとなど期間が空くのでついつい忘れてしまうとか、行けない方、続かない方の理由はさまざまだと考えられますが、定期検診にかかる費用がもったいない、という考えの方もいらっしゃるでしょう。


先進国のなかでも充実していると言えるわが国の医療保険制度では、2割から3割の自己負担で高水準の治療を受けることができます。この恵まれた環境はもちろん素晴らしいのですが、予防という観点から見ると逆にそれを軽視してしまう側面はないでしょうか。
歯の病気などは、比較的治療費が安いですし、痛くない治療をうたうなどサービスもよいので、お金を払ってまで予防のための定期検診を受けなくとも、「悪くなったら治してもらえばいい、痛みも少ないし費用も安い」という考えに傾きやすいのではないでしょうか。

しかし本当にその考えでいいのでしょうか。
詰め物やかぶせ物を作らなければならないような大きなむし歯になると、通院回数も増え、費用も多くかかります。そのうえ、詰め物・かぶせ物は「一生もの」ではないので、外れたり、作り直したりなど何年かに一度は再治療が必要になり、その都度費用もかかります。審美性を意識して自費の材料を使うようにすれば、その費用だけで予防にかかるものを超えるでしょう。
歯周病では歯の問題だけに留まりません。歯周病は糖尿病や肥満など、様々な全身疾患と関連があると言われていて、研究も進んでいます。成人病や生活習慣病と呼ばれるような病気に罹り、多額の治療費を払うことになったり、最悪の場合、命を失うことにもなりかねません。

興味深い調査データも発表されています。 歯科の定期健診を受けている人は、生涯治療費が平均より低く済むというものです。 その調査によると、歯科の定期健診を受けている人は、48歳までは医療費が平均を上回るものの、その後逆転し、年齢を経るにつれて差は広がり、65歳の段階では、平均の6割程度の負担となっているということです。結果、歯科費用を含めた生涯治療費でも平均を下回ると結論づけたそうです。
「歯が悪いと食事が偏ったり、歯並びが悪くなったりする。それが糖尿病や肩凝り、骨粗しょう症を招き、体全体の健康に影響する」と分析しています。(トヨタ関連部品健康保険組合・豊田加茂歯科医師会共同調査)

健康維持のためには必要と思っていても、遠ざかってしまうことも多い定期健診。治療費の面から見てもメリットがあることをおわかりいただけたと思います。これを機会に予防歯科に取り組んでみられるのもよいかもしれません。

指しゃぶりのいろは

お子さんの「指しゃぶり」は、育児中のママやパパにとって、そのままにはしておけない癖のひとつであり、お悩みのご家庭もあるかと思います。巷では様々に言われているようで、「早く止めさせるべき」「ほかの子どももしているし問題ない」「欲求不満では?」「歯並びは大丈夫?」などなど…実際はどうなのでしょうか。

赤ちゃんは、生まれて2~3ヶ月くらいで、口のそばにきた指やものを無意識に口で吸うようになり、この時期くらいから指しゃぶりをする子が出てきます。

さらに4~5ヶ月ごろになると、手を上手に思うところへ持っていくことができるようになるため、手を口のところへ持っていく回数も増え、それにつれて指しゃぶりも増えてきます。

この時期は、目と手の協調運動を学習し始めるときであり、さらに唇でいろいろなものを舐めたりしゃぶったりすることで、ものの形や味、性質や状態を学んでいると言われています。そのように考えると、この時期の指しゃぶりは子供の発育の一環だと言えるでしょう。

やがて成長とともに歩くようになって、口ではおしゃべりを始めるようになり、手も遊びに使うので口に持っていく暇がなくなり、という時期になると、昼間のおしゃぶりは少なくなってきて、退屈なときや眠いときにだけ見られるようになってきます。

2~3歳になっても、指しゃぶりの癖が抜けないお子さんもいらっしゃいます。そのような場合でも、やがて保育園や幼稚園に通い始め、友達と遊ぶようになって、社会性が発達してくると自然と指しゃぶりは減ってくるので、あまり心配する必要はありません。ただし、一日中かなりの頻度で指をしゃぶっている、吸いすぎて指の皮がめくれたり、化膿したりしている、と言うような場合は医師に相談した方がよいでしょう。

4~5歳を過ぎて、さらにそれ以上の年齢になっても、指しゃぶりを止めない場合、またはこの歳になって再発した場合、などは注意が必要です。まずは、かかりつけ医とよく相談してください。親の過干渉や放任といった家庭での問題や、遊ぶ時間が取れていない、退屈している、といった生活環境の問題が影響しているケースもあります。場合によっては心理学の専門家に相談する必要が出てくるかもしれません。

次に歯に対する影響をみてみます。指しゃぶりをする子どもは、開咬(上下の前歯のあいだにすき間があいて前歯がかみ合わない)や出っ歯の傾向が見られます。これらによって、嚥下障害、口呼吸、口元の突出、あごの発育、発音、などへの影響が危惧されます。2~3歳のうちはこのような傾向があっても、乳歯から永久歯への生え変わりによって改善されることも多いです。しかし4歳以上になるとあごの骨格に影響が出て、永久歯列の開咬を起こしやすくなります。

4歳くらいまでに、指しゃぶりを止めることが、歯科の分野から見ても、情緒的な面から見ても、良いと言えるでしょう。

健康寿命と⻭の健康

「健康寿命」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?
生まれてから死ぬまでの長さ(時間)のことを「寿命」というのに対し、「健康寿命」というのはそのなかでも、介護など、ほかの人の世話にならずに自立した生活を送った期間のことを言います。

寿命の長さでは世界一といわれる我が国は、健康寿命でもとても高い水準にあります。そんな日本でも平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性だと約12年と、10年前後あり、この期間は介護といったことが必要な、やや不自由な生活を送っていることになります。

健康寿命を延ばそうという取り組みは、厚生労働省が中心となって推進されています。「健康日本21」では、9つの分野で目標を定め、国民の皆さんの健康増進を後押ししています。そして、9つの目標のなかには「身体活動・運動」「休養・心の健康づくり」などについて定められていて、9つのうちのひとつに「歯の健康」も掲げられているのです。

では、「健康寿命」と「歯の健康」はどのように関わっているのでしょうか。
歯がほとんどない人で入れ歯も入れていない人のグループと、歯が20本以上残っているか、残っていなくても入れ歯をして機能の回復を図っている人のグループを比較すると、認知症発症リスクが2倍近くになるというレポートがあります。
転倒のリスクも2.5倍になるという報告もあり、歯が残っている人とそうでない人で、介護が必要となる人の数に差が出てきます。
その原因について考えてみましょう。歯を失うことで噛む力が低下します。すると生野菜等を食べることが減り、認知症発症のリスク因子であるビタミン不足が起こると同時に、噛むことによる脳への刺激が減り、脳自体の働きも衰えてしまう、という可能性が言われています。
さらに歯を失ったことで噛み合わせが悪化し、からだの重心の不安定などバランスが悪くなっていることが転倒リスクを増やしていると考えられます。
歯周病と全身の病気-糖尿病や関節リウマチ、骨粗しょう症、心筋梗塞や狭心症といった循環器性の疾患など-との関連性は以前から指摘されていて、歯周病の予防・治療によって、これらの疾患のリスクを下げることができないかという研究もされています。
また、食べたものや唾液に含まれる細菌が誤って肺に入り込んでしまって炎症を起こす「誤嚥性肺炎」についても、口腔衛生を改善することで予防しようという試みもあります。

いくつになっても食べ物をおいしく食べ、楽しくおしゃべりをするためには、歯の健康は欠かせません。そのことだけをとっても、歯の健康を保つことが健康寿命の延伸に貢献していると言えるかもしれません。

唾液をいっぱい出そう

私たちが生きていくうえで大切な役割を果たしている唾液・・・そのはたらきを少しあげてみると、食べ物と混ざり合い、消化を助ける、口のなかを洗浄して、細菌の増殖やむし歯・歯周病、口臭まで防いでくれる、などなど。そんな唾液ですが、ストレスや年齢とともに、その分泌量が減ってきます。今回は唾液をたくさん出す方法について考えてみましょう。

もちろん人によって差はあるのですが、ヒトは1日に1~1.5リットルあまりもの唾液を作っています。唾液は唾液腺というところで作られ、そのなかでも95%は大唾液腺という器官から分泌されます。大唾液腺には、耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)があります。耳下腺・顎下腺・舌下腺ですからその名のとおり口の周りにあり、さらに口の周りにはほかにも小唾液腺と呼ばれる小さな唾液腺があります。唾液を多く出るようにするために、これらの唾液腺を刺激してあげましょう。

まずやっていただきたいことは、よく噛むことです。噛む回数を多くして、噛み応えのあるものを摂るようにします。酸味のあるものも唾液腺を刺激します。
水を多めに飲むこともおススメです。唾液の分泌という面からみれば、利尿作用があるコーヒーやお茶よりも水の方が効果的です。

続いて、舌の運動で唾液腺を刺激しましょう。舌を前に出す、舌を出して左右に動かす、舌で上下の唇の内側、左右の頬の内側を押す、舌を回転させる、というような簡単な体操で唾液が出やすくなります。
唾液腺を直接マッサージする方法も有効です。

耳下腺…
頬と耳たぶの間に指をあてて奥から円を描くように回す
顎下腺…
耳の下からあご先まで内側の何ヶ所かを指先で押す
舌下腺…
顎の真下から舌を突き上げるように両方の親指で押し上げる

という感じでマッサージを行います。

また、たくさん話すことは、すなわち口や舌をよく動かすことになり、舌と頬の筋肉を運動させて唾液を出すことにつながります。パタカラ体操というお口の体操をご存じでしょうか。「ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ」「たっ、たっ、たっ、たっ」「かっ、かっ、かっ、かっ」「らっ、らっ、らっ、らっ」とゆっくりはっきりと発音するというものです。この体操は、唾液の分泌を促すだけでなく、噛む力、飲み込む力を向上させます。

これまでご紹介した方法で唾液の分泌は盛んになります、しかし夜の間は唾液はあまり出ません。その影響もあって夜間は口のなかで細菌が繁殖しやすくなります。むし歯や歯周病を防ぐという面から、そして朝、目覚めたときの口のなかのネバツキや口臭を防ぐという意味からも寝る前のお口のケアは丁寧に行ってください。

唾液のはたらき

唾液は「つば」とも言いますが「つばを吐く」「つばを飛ばす」など、少し悪いイメージの方が強いかもしれません。しかし、吐いて口の外に出してはダメですが、お口のなかでは、いくつもの重要な役割を担っています。

いちばんよく知られている働きは、食べ物の消化を助けるという働きです。唾液アミラーゼという消化酵素は、でんぷんを糖に分解する働きをしています。このことで胃腸の負担を軽くしています。
また、糖に変わることで甘さが増し、食欲を高めるという効果があります。
さらによく噛んで食べることで唾液が多量に出て、血液中の血糖値が早く上がります。その結果、満腹中枢に働いて空腹感が満たされ、食べすぎ防止に一役買っています。

もう一つよく知られている働きとして、自浄作用があります。歯や歯間に付着した食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流してくれます。
さらに、飲食により酸性に傾いたお口のなかを中和して、脱灰を止める一方、唾液に含まれるカルシウムイオン、リン酸イオンが溶けかかった歯の表面を修復し再石灰化して、むし歯を防いでくれます。その反面、唾液はミュータンス菌を歯の主成分であるヒドロキシアパタイトに付着させ、歯垢をつくり歯石にするという、悪玉成分も含んでいます。
ムチンという成分は口の粘膜を保護する働きをします。食べ物を滑らかにしたり、粘り気を出して口の中の粘膜や舌が傷つかないようにし、発声もスムーズにします。

また、口のなかには多くの細菌がいることが分かっています。リゾチームやラクトフェリンなどは、抗菌ファクターとして細菌の増殖を防ぐ働きで知られていますし、ラクトペルオキシダーゼは、発がん性物質の毒性を抑える働きがあると言われています。エイズウイルスについても、軽いキスなどの行為では感染しないことが分かっていますが、これもエイズウイルスのリンパ球への感染を抑制するスリピという物質の働きです。

唾液には私たち人間を助けてくれるさまざまな役割を持っているとおわかりいただけたと思います。そしてその働きは口のなかにとどまらず全身の器官にまで及んでいます。
ですから、唾液をたくさん出すために、よく噛む食事の習慣をつけ、全身を健康に保ちましょう。また、唾液の分泌は睡眠中は少なくなります、寝る前の歯みがきは忘れずに行いましょう。

⻭の再治療

レジン充填・・・5年、アマルガム充填・・・7年、インレー・・・6年、クラウン・・・7年、ブリッジ・・・8年
これらは歯の治療に使う詰め物やかぶせ物の平均耐用年数です。長いような短いような…人によって感じ方はさまざまでしょう。また技術の進歩で耐用年数も向上しています。しかし言えることは、治療した歯でも永遠には持たないということです。

むし歯になって歯医者さんのお世話になります。先生はその時点では考えられる最善の処置をしています。治療が終われば以前と変わらぬ食生活を取り戻すでしょう。けれども、何年かの時間が過ぎると、詰め物やかぶせ物が取れてしまったり、歯とのすき間にむし歯ができてしまったりして、同じ歯をもう一度治療することになったことがある方も、少なからずいらっしゃると思います。どうして再治療になってしまうのでしょうか、また、再治療にならないように歯を長持ちさせるにはどうしたらよいのでしょうか。

再治療になってしまう原因のなかで一番多いのは、むし歯の再発です。まず治療で金属などを詰めたりかぶせたりした歯は取り付けた人工物と残っている歯の境目に汚れが溜まりやすくなります。そこにむし歯ができてしまうのです。またその二つは、セメントなどの接着剤で強く着けられていますが、時間とともに疲労が出てきて、すき間などができて、そこからむし歯になってしまう場合があります。
次に多いのは、歯の中の炎症や歯の腐敗だそうです。最初に治療の際にむし歯菌を完全に除去できなかった場合や、神経を抜いた歯がもろくなって、むし歯菌や歯周病菌が増えてしまうケースです。
他に原因として多いものとして、接着剤の劣化でかぶせ物が外れ再治療となる場合などがあります。このように原因はさまざまですが、現在の歯科医療技術では、100%再治療にならないという治療を実現するのは難しいと言えるでしょう。

私たちにできる、治療した歯を少しでも長持ちさせる方法です。それは月並みですが毎日のブラッシングと歯の定期検診です。治療した歯は汚れが溜まりやすいと肝に銘じて、丁寧にブラッシングしてください。
また、歯の定期検診では、歯のクリーニングでご家庭でのブラッシングでは落としきれないプラークや歯石を取り除いてくれます。加えて、歯科医師や歯科衛生士などの専門家に歯の状態をチェックしてもらうことで、早期発見ができます。再治療となっても、より簡単な治療で終わらせることにつながります。

最新の歯科治療では、接着力が高い充填剤・接着剤として、接着性レジンなども使われるようになっていますし、レーザー治療などより安全確実にむし歯の部分を取り除く技術や、治療した歯を長持ちさせる技術も出てきているので、かかりつけ歯科医の方に相談してみるとよいでしょう。

青年期から壮年・老年期の歯のケア

「お口のケア」「歯のケア」というと、「正しい歯みがきをしましょう」「歯医者さんに定期的に通いましょう(定期健診)」などと標語のように認知されています。けれども年代別に細かく見ると、それぞれの世代によって、より重点を置いたほうがよい点、気を付けるべき点があったりします。

青年期(20歳位~)

歯周病への意識をより高めることが必要です。最初は痛みも自覚症状もなく進行するのが歯周病の特徴ですが、この時期から進行し始め、ケアを十分にしなかったために、歳を経たあとで歯を失ってしまうこともよくあることです。
毎日のケアのなかでは、まず正しいブラッシングを身につけること、そのときに歯や歯ぐきをよく観察しましょう。
歯のグラつきや歯ぐきの腫れはどうか、出血はないか、色が赤黒くなっていないかなどです。それに加えて、ブラッシングができているかのチェックもかねて歯科医院で定期検診に通われることをお奨めします。
歯周病を進行させる危険要因(リスクファクター)と言われるもののなかには、喫煙やストレス、不規則な生活などがあげられています。こういった生活習慣を改善することは、歯周病以外でも健康面、精神面でよい影響が出ることでしょう。こういった機会に取り組んでみてはいかがでしょうか。

壮年期(40歳位~)

このくらいの世代から歯周病で歯を失う方が増え始めます。ご家庭での正しいブラッシング+ 定期健診がこれまでと変わらず重要です。
さらに、歯の黄ばみや変色が加齢とともに気になる年齢でもあります。あまり気になるようであれば、歯のクリーニングやホワイトニングの処置をすることも選択肢のひとつです。心置きなく口を大きく開けて笑い、歌い、食する生活を取り戻すことができるかもしれません。

老年期(60歳位~)

体の免疫力が歯周病の進行を大きく左右します。加齢によって免疫力が低下すれば、歯周病が重症化しやすくなります。歳を経るにつれ唾液の量が減ること、消化しやすいように小さく刻まれた食材が歯と歯の間に残りやすいこと、義歯やその接する部分が清掃しにくく汚れが残りがちであること、などから口腔内は不衛生な環境になりやすくなります。歯ぐきが下がってくるので歯の根元の柔らかい部分が出てきてむし歯のリスクも高まります。
お口のケアは以前にも増して重要となってきますが、身体の自由も以前ほど利かなくなり、十分なケアができなくなる状況も起こりえます。最近では口腔ケア製品も工夫され、高齢者の方でも使いやすい作りになったものも出てきていますので、それらをお試しになるのもよいかもしれません。

ひとくちに「お口のケア」と言っても年齢別に見てみると、それぞれの年代で重点の置き方が少しづつ違うものです。ご自身とご家族の年代に合わせたお口のケアを意識していただければと考えます。

乳幼児期〜思春期の歯のケア

「お口のケア」「歯のケア」というと、「正しい歯みがきをしましょう」「歯医者さんに定期的に通いましょう(定期健診)」などと標語のように認知されています。けれども年代別に細かく見ると、それぞれの世代によって、より重点を置いたほうがよい点、気を付けるべき点があったりします。

乳幼児期

生まれたばかりの赤ちゃんのお口のなかには、むし歯菌はおらず、外部との接触を通して入ってきます。スプーンやフォークの使いまわし、口移しの食事、キスなどのスキンシップでも感染してしまうこともあります。3歳くらいになると口のなかの細菌の棲み分けが決まってくるので、感染の可能性は低くなります、短い期間ではありませんが、それまでは十分に注意しましょう。
歯が生え始めたら歯みがきの開始です。2歳くらいまでは保護者の方が磨いてあげてください。磨き初めのころはガーゼでやさしくこするなどするのがよいでしょう。歯に触られることに慣れさせるという面もあります。
2歳くらいになったら、お子さん自身でみがく練習を始めます。最後に仕上げ磨きをしてあげましょう。5歳くらいになって、かなり上手にみがけるようになってくれば、磨き残しをチェックするという程度でよいでしょう。
歯医者さんに定期的に通って、フッ素を塗ってもらったり、むし歯をチェックしてもらうなど、活用しましょう。
万が一むし歯が出来てしまったときには、どうせ生え変わるからと放置しないで治療しましょう。むし歯菌がさらに増えてしまい、永久歯もむし歯のリスクが高まります。

学童期

一番最初に生える永久歯は「6歳臼歯」と呼ばれ、まさに6歳前後で生え始めるので、この時期は乳歯と永久歯との生え変わりの時期です。乳歯と永久歯が混在するので、歯並びは複雑になり歯磨きもしにくくなります。お子さんが磨くことを基本としますが、低学年のあいだは保護者の方も磨き残しをチェックしてあげましょう。

思春期

この時期になると永久歯も生えそろい、なかには親知らずが生えてくる子供もいます。成長期で食事の量や回数が増えてくるのですが、その割に勉強や運動、趣味など多忙で多感になり、お口のケアはおろそかになりがちです。
このような時期だからこそ、デンタルケアの正しい知識を身につけましょう。「自分の歯は自分で守る」という自覚を持ち、たとえ忙しく面倒だと思っても、時間を割いて、適切なケアを行いましょう。
歳を取ってから症状が出ると言われる歯周病ですが、この時期特有の思春期性歯肉炎になる方もいるので、正しい食生活と適切なケアは欠かさないようにしましょう。