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高齢者の口腔ケア1 ~高齢者の口の中~

人口の高齢化はさまざまな国で大きな社会問題となっています。なかでも我が国の高齢化は他の諸外国に例をみない速さで進んでいます。試算では21世紀のなかばには、日本人の三人に一人が65歳を超えるという超高齢化社会を迎えると言われています。


当コラムを読まれている方のなかにも、ご自身がそのような年代に差し掛かっておられる方もいらっしゃるでしょうし、身近に高齢者の方がおられる方も多いのではないかと思います。
そんななかで、高齢者の方のお口のなかがどのような状態であるのか、知っておいていただければ、多少はお役に立てるかもしれません。

私たちは歯が生えてきてからずっと噛むことを繰り返してきました。その結果、上下の歯は噛んで接触することにより徐々にすり減っていっています。咳耗 (こうもう)と呼ばれています。
咳耗自体は、かみ合わせが悪かったり、または歯ぎしり癖などで極端に激しくすり減るようなケースを除いては、大きな問題にはなりません。しかし冷たいものや熱いものがしみるようであれば、一度歯科医 院に相談してみてください。

また、どなたでも40歳前後になると、加齢現象のーつとして歯ぐきの「やせ」が見られるようになります。歯周病にかかっている方はもっと早くから、やせることもあります。
歯ぐきがやせて下がってくると、今まで歯茎に覆われていた軟らかい象牙質の部分が見えるようになり、その部分が削れてきます。ブラッシングが強すぎるとそれだけで削れてしまうこともあります。さらに、歯と歯の間にすき間ができ、食べものが詰まりやすくなったり、汚れがたまりやすくなります。

高齢者のお口の中に起こるもうーつの大きな変化が唾液の減少です。減少の原因は、加齢や全身疾患、 降圧剤、精神安定剤、睡眠薬など薬の服用などとされています。唾液による自浄作用が減少するので、 口腔内の衛生状態が悪化します。口臭も強くなるし、舌苔も増加するなど考えられるので、注意が必要です。

歯茎が下がる、唾液の減少という現象が合わさると、むし歯になりやすくなります。歯の根元の部分はやわらかくむし歯菌に弱いですし、ケアのしにくい歯と歯の間にできたりすると見つかりにくく、処置も遅れがちです。細い部分でもあるので、むし歯力榊経に達するのも速く、処置も難しいものとなります。

長く働いてきてくれた大事な歯ですから、若いとき以上にケアに力を入れて、歯とお口を守りましょう。

離乳⾷とお⼝と⻭の成⻑2

 前回コラムで離乳⾷の初期から中期までを簡単に説明させていただきました。いよいよ離乳後期の始まりです。指先で物を掴めるようになるので、「⼿づかみ⾷べ」や「遊び⾷べ」を盛んにするようになり、ご両親にとっては⼤変な時期に⼊ります。

 この時期は、前⻭の上下8本が⽣え始め、上あごが広がり、⼝の中の容積も⼤きくなります。唇や⾆の動きもずい分と達者になり、⾆は上下運動に加えて、左右に動かせるようになります。
⾆では潰し切れない⾷材を⾆で器⽤に寄せて、⻭ぐきで噛んですりつぶす、というようなこともできるようになってきます。
 前⻭の成⻑にしたがって、⾷べ物をかじる動きを覚え、ひと⼝で⾷べられる量を学んでいきます。この離乳後期では、⾷材は5mm〜7mmくらいの粗みじんにして、バナナくらいの固さに煮込んでください。
スプーンについてもこれまでは平らなものを使ってきましたが、このころになったら、くぼみのあるものに替えるとよいでしょう。

 先に述べた「⼿づかみ⾷べ」や「遊び⾷べ」の “被害” は⾐類や⾷卓だけでなく床にまで広がり、ご両親にとっては悩みの種でしょう。しかしお⼦さんの成⻑という局⾯で⾒ると、⾷べ物にさわる・その感触や 温度を感じる・⾷べ物がこぼれたり落ちたりするのを⾒る、といったひとつひとつの経験が、⾚ちゃんの好奇⼼や五感を刺激して、豊かな感性を築きます。
⼤⼈にとっては何ということもない、⾷べ物をつかんだり⼝に運んだりする⾏為で、ものと⾃分との距離感覚を学ぶなど、ひとつひとつ⾃分以外の世界に⾃ら触れることで、感覚機能や運動機能・認知⼒などが⾝についていくという貴重な経験で、最初の⾷育と⾔えるかもしれません。

 さらに成⻑が進んで、前⻭の上下8本が⽣えそろい、奥⻭が⽣え始めるころになると、⾆の動きもさらに⾃由⾃在となり、⾷べ物をすり潰すのに奥⻭を使うことができるようになります。⾷材も1cm⾓くらいの⼤きさでも平気になります。ただし、噛む⼒はまだそれほど発達していませんので、⾷べ物の固さは、スプーンで切れる⾁団⼦くらいの固さにします。
 この時期を離乳完了期と呼んで離乳⾷も終わりが近いのですが、この時期とこのあとの幼児⾷への移⾏にかけては、⾷べ物の固さに注意が必要です。
奥⻭がまだ⽣えておらず噛めないのに、固い⾷べ物を与えると噛まずに呑み込む癖がついてしまいます。 また、3歳を過ぎると⼤⼈と同じくらいの固い⾷べものも⾷べられるようになりますが、その時期を過ぎても、いつまでも柔らかいものばかりを与えていると逆に、噛む気がなくなってしまうということもあります。

 ⻭や⾆の成⻑に合わせて正しい段階を踏んで離乳⾷を進めていくことに加えて、⾷育ということも頭の⽚隅で意識しつつ、正しい⾷べ⽅やマナーを⾝につけさせてあげたいものです。

離乳⾷とお⼝と⻭の成⻑

離乳⾷というと、ただでさえ⼤変な⼦育てにさらに加わる苦労、という⾯と、お⼦さんの成⻑をより実感できる楽しみ、という両⾯があると思います。この時期をうまく過ごして⾷べ⽅を正しく覚えてくれれば、⻭やお⼝まわりの機能をより有効に使うことができるようになります。

離乳⾷の⽬的を挙げるとすれば、

  • お⼦さんの成⻑につれ、⺟乳だけでは補いきれなくなるエネルギーや鉄分などの栄養素を摂ってもらうこと、
  • 今までおっぱいを吸うだけだった栄養を摂る動作に加えて「⾷べ物をかんで呑み込む」という新たな⼀連の動作を⾝につけさせる、


  • ということになります。

    離乳⾷を始めるタイミングは、⾚ちゃんが教えてくれるとよく⾔われます。 ⾷べ物に興味を⽰す、よだれが増える、⼈が⾷べているのを見て、⾃分も⼝をもぐもぐする、スプーンで⽔やお茶をあげるとごっくんと飲み込む、などの⾏動が出てくると離乳⾷を始めてもよい時期だと⾔えます。
    ⾚ちゃんは、乳⾸のような形状をしたもの以外の固形物を⼝のなかに⼊れると、⾆で押し出そうとする「⾆突出反射」をします。離乳⾷を始めるのは、この反射が少なくなってきてからがよいでしょう。

    離乳初期では、10倍がゆや、やわらかい野菜、⾖腐、⽩⾝⿂などをなめらかにすり潰したものから始めます。⾆は最初
    のうちは前後に動くだけですが、だんだんと上下運動もできるようになってきます。
    使うスプーンはカーブが浅く平らなものにします。まだ唇を閉じる⼒が弱いので、スプーンのくぼみが深いと⾷べにくいのです。そしてスプーンを⼝から抜くとき、まっすぐに抜くようにします。上に持ち上げながら抜いていると、いわゆる「お⼝ぽかん」(⼝唇閉鎖不全症)のリスクがあり、⻭並びに影響が出ることもあります。

    やがて、⾆の使い⽅が上⼿になってきます。上下運動が上達してきて、⾆先で⾷べ物を取り込み、やわかい粒を上あごに押しつぶして、さらに⾆でひとまとめにしてのみこむ、という動作までできるようになります。この段階にくれば中期です。
    あたえる⾷べ物も変わってきて、2mmから3mmくらいのみじん切りを、⾆でつぶせる程度の柔らかさに煮込んで作ります。⾆でつぶせるというのは、親指と⼈差し指で持って、軽く⼒を⼊れたらつぶれる程度が⽬安です、ちょうどプリンや⾖腐くらいの固さです。
    つぶした⾷べ物をひとまとめにすることを覚える時期なので、⼝のなかでバラけないよう、少しとろみをつけてあげるとよいかもしれません。 離乳後期〜完了期については、次回コラムで書きたいと思います。

    お⼝とストレスの関係

    「ストレス」という⾔葉を聞かない⽇がないくらい、世の中は「ストレス」にあふれています。私たちの⻭やお⼝のなかはストレスの影響を受けているのでしょうか。 疲れがたまると⻭が痛む、という⽅はいらっしゃいませんか。仕事で残業などが続き、疲れてくると、⻭ぐきが腫れる、⻭がグラつく、昔のむし⻭がまた痛む、などの症状が出てくることがあります。これらの症状による痛みや不快感は、ストレスが直接もたらしているわけではありません。

    しかし、普段はからだが本来持っている抵抗⼒で症状が出ることを抑えていたものが、ストレスが⾼まり、寝不⾜や疲れ気味になって、少しいつもの抵抗⼒が落ちてしまい、その隙をついて痛みがあらわれているのです。 痛みや不快感はやがてストレスが解消され疲れが取れてくれば、感じなくなります。また同じようなことが起きたときには再発するのですが、ストレスが解消すれば治まるので、わざわざ⻭科医院に⾜を運ぶのは億劫になりがちです。

    けれども何の問題もないところに、痛みが出るはずはない、と考えてください。⻭周病が原因で⻭ぐきの腫れや⻭のグラつきが出ているのかもしれませんし、昔のむし⻭が痛むのは治療が完了してから時間を経たので、何らかの変化が起きているのかもしれません。 これらの症状は放っておいても良くはなりません。けれども、この程度の症状であれば初期段階のことが多いので、治療しても期間も費⽤もそれほどかかりません。これを機会に⻭科医院に⾏かれてはいかがでしょうか。

    さて、極度の緊張を強いられる場⾯…⼈前でのスピーチなど…では、⼝のなかがすっかり乾いてしまって、張り付いてしまうことさえあります。この症状もストレスのあまり、唾液が出にくくなってしまっていることが原因です。スピーチ程度の短い時間であれば、ほとんどの場合、問題ではありません。 しかし、慢性的に唾液の分泌が少ないドライマウスも、ストレスが原因のひとつだと⾔われています。ドライマウスになると、⼝のなかが渇く、ネバネバしてくる、しゃべりにくい、⾷べ物を上⼿に呑み込めない、などのほか、⼝臭がひどくなることがありますし、唾液がむし⻭を予防する機能も低下します。

    また、⻭ぎしりや⾷いしばりといったブラキシズム(⼝腔内悪習慣)もストレスと関係があるとのことです。これらは脳が無意識に精神的ストレスを発散させるために⾏なっていると考えられています。ブラキシズムは、⻭の摩耗、⻭の神経の炎症、被せ物が取れてしまう、など⻭に悪影響が出ますし、顎関節症になってしまう恐れもあります。頭痛や肩こり、⽿鳴りなど全⾝に影響も懸念されます。

    私たちが⽣きていくうえでは、ストレスは避けて通れないものかもしれません。できるだけ上⼿に付き合って、お⼝の健康、からだの健康、そして何より⼼の健康を保ちましょう。

    指しゃぶりから卒業

    ずっと治らないのでは…、と不安な気持ちにもなるお⼦さんの指しゃぶりですが、個⼈差はあったとしても成⻑とともに⾃然に治まるものです。
    しかし、学校に進む年齢になってもやめられなかったり、できれば早い段階で指しゃぶりから卒業させたいと、お考えになるお⽗さんお⺟さんもいらっしゃると思います。指しゃぶりを上⼿にやめさせる方法を考えてみましょう。

    最初に意識してほしいことは、指しゃぶりをやめさせるのにあたって、指しゃぶりを指摘して注意したり、叱ったりするのはお⼦さんにとって⾮常なストレスになるので、あまりよくないということです。

    ひとつのアプローチとして、まず指しゃぶりのことを忘れさせてしまうことを考えてみましょう。⽇々の成⻑のなかで遊びで⼿を使うようになると、指しゃぶりはしないようになってくるので、手遊びをたくさん教えてあげるのはよい⽅法のひとつです。
    また、本を読み聞かせするときはいっしょに本を持つようにするなど、手を使わせる⼯夫はいろいろ考えられると思います。寝るときに指しゃぶりをするときは、手をつないで寝るようにするというのはどうでしょうか。指は使えなくなるし、スキンシップで安らかな気持ちで眠れるでしょう。

    こちらの⾔うことが理解できる年齢になれば、「指しゃぶりはあまりいいことではない」ということを⾔って聞かせるという方法もあります。
    具体的に⾔うと
    ⻭並びへの影響…「お話やお歌がうまくできなくなっちゃうよ」
    ⾃尊⼼・羞恥⼼に訴える…「赤ちゃんみたいだからだんだんやめていこうね」
    衛⽣⾯…「⼿にはバイキンがいっぱいついているよ、なめると汚いんだよ」という感じでしょうか。
    もちろん、指しゃぶりをしないよう気を付けている、指しゃぶりを我慢している、というお⼦さんには「褒める」ということも⼤切です。

    そういった⼯夫をしてもなかなかやめられないときは、指しゃぶり防止グッズもあります。指に着けて指しゃぶりの感覚が得られなくするものや、⼈体には無害ですが少し苦い味のするコート剤などもあります。

    どの⽅法をやってみるとしても、お⼦さんにもご両親にもストレスとならないよう気軽な⼼持で取り組んでください。⻭科医や⼩児科医もさまざまな例に対応できますので、かかりつけの先⽣に相談してみるのもよいでしょう。

    酸蝕⻭ってなんのこと︖

    タイトルの「酸蝕⻭」という⾔葉⾃体は初めて聞かれたという⽅も多いと思いますが、字⾯から⾒て「酸に蝕まれた(むしばまれた)⻭」のことかなとお判りになる⽅もいらっしゃるかと思います。健康⾯での良さを再認識されている⿊酢、スポーツ時の⽔分補給に飲まれるスポーツドリンク、美容にも良いとされるビタミンCを多く含む柑橘類、どれも体に良いとされています。けれども⻭にとってはあまりありがたくない⾷べ物なのです。

    「酸蝕⻭」=「酸に蝕まれた⻭」とはどういうことでしょうか。それは、酸性の強い場所…例えばメッキ工場など酸を取り扱う職場など…で酸を吸い込んだり、酸性の強い⾷べ物や飲み物を摂ることによって、溶けてしまった⻭のことです。
    むし⻭も同じように⻭が溶けますが、むし⻭の場合は原因が細菌ということで、原因が酸である酸蝕⻭は別に区別されています。酸蝕⻭も症状が進んでくると知覚過敏やむし⻭のような痛みが出ます。

    私たちの⻭は、pH(⽔素イオン指数)が5.5以下の酸性の⾷べ物・飲み物に⻑時間触れると溶けてしまいます。コーラなどの炭酸飲料や栄養ドリンク、スポーツドリンク、⿊酢、ワイン、ビール、オレンジジュース・野菜ジュースなどの飲み物、レモンやみかん、グレープフルーツなどの柑橘類、ドレッシングやぽん酢、しょうゆなどの調味料なども、pH5.5以下に当てはまります。
    それらはごく⾝近な⾷べ物・飲み物で、健康にもよいとされているものも多く、私たちにとって⽋かすことのできないものなのですが、摂るときには、その摂り⽅に多少の注意を払う必要があります。

    摂り⽅でまず気を付けたいことは、お口のなかの酸性状態が長く続かないようにすることです。ダラダラ飲みやダラダラ⾷べはしないようにしましょう。さらに、⽇ごろからフッ素⼊りの⻭みがきなどを使⽤して、⻭質を強くすることも有効です。ほかにも軟らかい⻭ブラシを使う、酸性の飲み物を飲むときにストローを使う、などをすれば少なからず予防となります。
    また、からだには良いことをしているようで、問題なさそうに⾒えるけれども、酸蝕という⾯から⾒るとあまりよくない、ということもあります。例えば、私たちはよく運動中や運動後にスポーツドリンクを飲みます。これは⽔分補給・栄養補給としては⼤切ですが、運動をすることによって、口のなかが乾いて唾液の量も少なくなっていると、酸がいつまでもとどまってしまう危険があります。できるだけ早いタイミングで⽔を飲んで、口のなかを中和するとよいでしょう。

    ほかにも、⾷後すぐに⻭磨きをするということも良い習慣のように⾒えます。ですが、酸性の強い⾷事を摂っていたとしたら、酸によって⻭の表⾯のエナメル質が少し軟らかくなっているかもしれません。唾液の働きで中和されてエナメル質が元の状態に戻るのには30分くらいはかかります。⾷後すぐに⻭を磨くと、まだ軟らかい状態のエナメル質に悪い影響を及ぼすかもしれません。そのときの献⽴が酸性が強かったかどうかは、簡単には判断できないので、⾷後の⻭磨きはいつも30分以上経ってから⾏うのがよいでしょう。

    ⽇常の⽣活のなかで酸蝕というものは避けることはできませんが、正しい知識に基づいて予防をしていけば、健康⾯のメリットを享受しながら、うまく付き合っていけるでしょう。

    ⻭にものが挟まってイライラ

    皆さんはこんな⾔い回しを使うことがありますか。「奥⻭にものが挟まったよう…云々」。思っていることをストレートに⾔わないで遠回しに婉曲して表現する煮え切らない様⼦を⾔ったものですが、実際に⻭にものが挟まったときにも、まどろっこしさ、煩わしさやイライラが募ります。

    ⻭に挟まりやすい⾷べ物と⾔えば、野菜やイカ、⾁など筋が多いような⾷品が思い浮かびますが、こちらの⻭そのものにも挟まりやすい状態というものがあります。

    まずはむし⻭です。⻭と⻭の間がむし⻭になって、くぼみができているときや、むし⻭が進⾏して⻭冠部が⽳になっているとそこにものが挟まってしまいます。こういった状態はむし⻭を治療することで解決します。むし⻭を治療して被せた詰め物や被せ物と、隣り合った⻭との間にすき間があって、そこにものが挟まってしまうこともがあります。そのような場合は被せたものを調整してすき間にならないようにします。

    ⻭周病の症状でも挟まりやすくなることがあります。⻭周病で⻭がグラグラした状態になると隣の⻭との接触が弱くなります。噛み砕かれて⼩さくなった⾷べ物の破⽚が、その弱くなった接触部分に⼊り込んでしまうことがあります。⻭の動揺が治まるようブラッシングを中⼼とした⻭周病のケアを⾏います。
    また、⻭並びによって、周りの⻭との間に⼤きな段差が⽣じるほどであると、物が挟まってしまいやすくなることがあります。⻭を削ったり、詰め物や被せ物を使ったり、矯正治療をして治すこともあります。

    ⻭にものがよく挟まって気になるとしても、つまようじや⻭ブラシで容易に取れて、むし⻭になっているというわけでもなければ、さしあたって治療は必要ないかもしれません。しかし、いつも同じところに、たびたびものが挟まるという状況が続くと、あらたにむし⻭になったり、⼝臭の原因となったり、そこから気づかないうちに⻭周病が進⾏したりする場合もあるので、注意が必要です。

    ⻭にものが挟まったときは、すぐに取り除きたいものですが、挟まり⽅によっては、いつものつまようじやブラッシング程度では取り除けないこともあります。そのような場合でも⻭間ブラシやデンタルフロスのような補助器具を使えば、取り除けることもあります。
    これらの補助器具は正しい使い⽅をしないと⻭や⻭ぐきを傷めてしまうおそれがあります。使い⽅に不安のある⽅は、⻭科医院などで正しい使い⽅の指導を受けることをお奨めします。

    大人もむし歯ににご用心

    大人が罹る歯の病気の代表格と言えば歯周病でしょう。しかしむし歯についても興味深いデータがあります。むし歯になる人を年代別に見たときに子供世代のむし歯は年々減っているのに対し、大人の場合は減っていないという数字が出ているそうです。歯を抜かずに残せることも多くなってきた歯科医療技術の向上もあって、大人のむし歯はむしろ増えているのです。
    子供のむし歯の場合、むし歯になりやすいのは奥歯です。これは歯磨きがしにくく磨き残したところか
    らむし歯が侵攻します。それに対し大人の場合は、「2次う蝕」と呼ばれるものと、「根面う蝕」と呼ば
    れるものの二つが原因であることが多いとされています。


    まず、2次う蝕(2次カリエス)ですが、これは治療済みの歯が再びむし歯になるという症状です。治療した詰め物や被せ物と歯の境目から、むし歯が入り込んでいくのです。境目は汚れがたまりやすいですし、治療後年数を経ると接着剤の劣化が起きたり、歯と被せ物との収縮率の違いからすき間ができたりして、そこからむし?になることがあります。
    以前の治療の際に神経まで抜いている場合は痛みを感じませんし、被せ物の下でむし歯が進行しても、表?の詰め物や被せ物には変化が?られないので、気づいたときにはずい分深いところまで進行してしまっていることが多いのが特徴です。

    次に根面う蝕です。これは歯と歯ぐきの間に歯肉炎や歯周炎などが原因で、すき間ができてしまい、むき出しになった歯の根元がむし歯になってしまうものです。
    歯肉炎や歯周炎になっていない歯でも、年齢とともに歯ぐきは下がってしまい、むし歯になりやすくな
    ります。
    また誤ったブラッシングで歯ぐきを傷めて、根面が露出してしまうこともあります。歯の頭の部分=歯
    冠が硬いエナメル質で覆われているのに対し、歯の根面は軟らかいのでむし歯になりやすく、今までと同
    じやり方でブラッシングをしているはずなのに、むし歯になってしまったというようなことが起こったり
    します。歯周病で腫れてしまった歯ぐきの下に隠れたままむし歯が進行していて、歯周病の治療で歯ぐき
    の腫れが引いたらむし歯に気づいた、などという場合もあります。

    2次う蝕や根面う蝕を防ぐにはどうしたらよいでしょう。大人のむし歯と言っても、一般的なむし歯や歯周病の予防と同じで、ご家庭でのブラッシングと歯科医院での定期検診が有効です。
    天然歯に比べて詰め物・かぶせ物は汚れが付きやすいことを考えると、ブラッシングはいっそう丁寧に
    行いましょう。歯間ブラシなどの補助器具を使って、歯根部分のプラークを取り除くのもよいでしょう。
    定期検診で歯科医院に通うことは、クリーニングはもとより、専門家に診てもらうことで、気づきにく
    い隠れたむし歯の早期発見・早期治療にもつながります。

    指しゃぶりから卒業

    ずっと治らないのでは…、と不安な気持ちにもなるお子さんの指しゃぶりですが、個人差はあったとし
    ても成長とともに自然に治まるものです。
    しかし、学校に進む年齢になってもやめられなかったり、できれば早い段階で指しゃぶりから卒業させた
    いと、お考えになるお父さんお母さんもいらっしゃると思います。指しゃぶりを上手にやめさせる?法を
    考えてみましょう。


    最初に意識してほしいことは、指しゃぶりをやめさせるのにあたって、指しゃぶりを指摘して注意したり、叱ったりするのはお子さんにとって非常なストレスになるので、あまりよくないということです。
    ひとつのアプローチとして、まず指しゃぶりのことを忘れさせてしまうことを考えてみましょう。日々の成長のなかで遊びで手を使うようになると、指しゃぶりはしないようになってくるので、手遊びをたくさん教えてあげるのはよい方法のひとつです。
    また、本を読み聞かせするときはいっしょに本を持つようにするなど、手を使わせる工夫はいろいろ考えられると思います。
    寝るときに指しゃぶりをするときは、手をつないで寝るようにするというのはどうでしょうか。指は使え
    なくなるし、スキンシップで安らかな気持ちで眠れるでしょう。

    こちらの言うことが理解できる年齢になれば、「指しゃぶりはあまりいいことではない」ということを言って聞かせるという方法もあります。
    具体的に言うと
    歯並びへの影響…「お話やお歌がうまくできなくなっちゃうよ」
    自尊心・羞恥心に訴える…「赤ちゃんみたいだからだんだんやめていこうね」
    衛生面…「手にはバイキンがいっぱいついているよ、なめると汚いんだよ」という感じでしょうか。
    もちろん、指しゃぶりをしないよう気を付けている、指しゃぶりを我慢している、というお子さんには
    「褒める」ということも大切です。

    そういった工夫をしてもなかなかやめられないときは、指しゃぶり防止グッズもあります。指に着けて指しゃぶりの感覚が得られなくするものや、人体には無害ですが少し苦い味のするコート剤などもあります。

    どの方法をやってみるとしても、お子さんにもご両親にもストレスとならないよう気軽な心持で取り組んでください。歯科医や小児科医もさまざまな例に対応できますので、かかりつけの先生に相談してみるのもよいでしょう。

    予防と治療費

    私たちを悩ませるむし歯や歯周病といった歯の病気を未然に防ごうという予防歯科ですが、最近ではかなりその認知度も高まってきました。一方で、実際に歯の定期健診を誰もが受けているか、というとそこまでは至っていないのが現状です。
    予防歯科として歯の定期検診を受けようと思ってはいても、忙しくて行く時間が取れないとか、3ヶ月ごと、半年ごとなど期間が空くのでついつい忘れてしまうとか、行けない方、続かない方の理由はさまざまだと考えられますが、定期検診にかかる費用がもったいない、という考えの方もいらっしゃるでしょう。


    先進国のなかでも充実していると言えるわが国の医療保険制度では、2割から3割の自己負担で高水準の治療を受けることができます。この恵まれた環境はもちろん素晴らしいのですが、予防という観点から見ると逆にそれを軽視してしまう側面はないでしょうか。
    歯の病気などは、比較的治療費が安いですし、痛くない治療をうたうなどサービスもよいので、お金を払ってまで予防のための定期検診を受けなくとも、「悪くなったら治してもらえばいい、痛みも少ないし費用も安い」という考えに傾きやすいのではないでしょうか。

    しかし本当にその考えでいいのでしょうか。
    詰め物やかぶせ物を作らなければならないような大きなむし歯になると、通院回数も増え、費用も多くかかります。そのうえ、詰め物・かぶせ物は「一生もの」ではないので、外れたり、作り直したりなど何年かに一度は再治療が必要になり、その都度費用もかかります。審美性を意識して自費の材料を使うようにすれば、その費用だけで予防にかかるものを超えるでしょう。
    歯周病では歯の問題だけに留まりません。歯周病は糖尿病や肥満など、様々な全身疾患と関連があると言われていて、研究も進んでいます。成人病や生活習慣病と呼ばれるような病気に罹り、多額の治療費を払うことになったり、最悪の場合、命を失うことにもなりかねません。

    興味深い調査データも発表されています。 歯科の定期健診を受けている人は、生涯治療費が平均より低く済むというものです。 その調査によると、歯科の定期健診を受けている人は、48歳までは医療費が平均を上回るものの、その後逆転し、年齢を経るにつれて差は広がり、65歳の段階では、平均の6割程度の負担となっているということです。結果、歯科費用を含めた生涯治療費でも平均を下回ると結論づけたそうです。
    「歯が悪いと食事が偏ったり、歯並びが悪くなったりする。それが糖尿病や肩凝り、骨粗しょう症を招き、体全体の健康に影響する」と分析しています。(トヨタ関連部品健康保険組合・豊田加茂歯科医師会共同調査)

    健康維持のためには必要と思っていても、遠ざかってしまうことも多い定期健診。治療費の面から見てもメリットがあることをおわかりいただけたと思います。これを機会に予防歯科に取り組んでみられるのもよいかもしれません。