歯の話」カテゴリーアーカイブ

お口のなかの金属アレルギー

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『お口のなかの金属アレルギー』です。

身につける金属に反応して、湿疹やかぶれ、かゆみなどが起こるのが金属アレルギーです。女性の場合であれば、指輪やピアス、男性であればベルトの金具や時計などに反応するのが一般的です。歯科でも金属を使うことから、歯科医療においても金属アレルギーは注意しなければいけないことがらです。
歯科医療での金属といえば、詰め物やかぶせ物に使われます。これらが金属アレルギーの原因となることがあります。

金属がイオン化してからだのなかに入ると人体は本来持っている免疫力で抗体を作ります。抗体が作られたあと、その金属がからだに入ると拒絶反応を起こします。そのときに金属を異物として外に出そうとするなどして、からだにも炎症やかぶれなどの症状が出ることがあります。これが金属アレルギーが起こるメカニズムです。
歯科医療においては、詰め物やかぶせ物に使われた金属が口のなかに溶け出しイオン化したものが金属アレルギーを引き起こします。
花粉症の場合に、去年まで何ともなかった人が、今年になって突如発症したりすることがります。金属アレルギーにおいても、今までは何ともなったのに突然症状が出たりすることもあります。また、症状が出る場所も口のなかばかりではないこともあります。これらの場合のように、口のなかの金属が原因だと分かりにくいケースもあります。

歯科での金属アレルギーのリスクを低くするために、以下のような方法が取られています。

  1. 溶け出しにくい金属を使う。溶け出しやすい金属としては、ニッケル、コバルト、パラジウムなどがあります。逆に溶け出しにくいのは、金、銀、プラチナ、チタンなどです。
  2. できるだけ同じ種類の金属を使う。数種類の違う金属があるとアレルギーを起こしやすいという調査結果があります。
  3. 金属を使⽤しない。金属の代わりにセラミックなどの素材を使います。
    金属アレルギーが発症してしまった場合は、原因となった金属を特定して取り除き、その後はその金属を使わないことでアレルギーを鎮め、再発しないように努めます。

アレルギー全般において、その発症を事前に予見することは非常に難しいとされています。せめて日ごろから、ご自分の体質はどのような特徴があるか把握するように心がけましょう。

⻭列矯正~見た目以外のあんな効果、こんな効果~

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『⻭列矯正~見た目以外のあんな効果、こんな効果~』です。

歯列矯正と言えば、「歯並びをきれいに」とか「口もとを美しく」など、見た目の効果が強調されがちです。しかし、他にもいろいろな効果があります。
ひとつめには、かみ合わせの改善がもたらすメリットです。かみ合わせが正しくなると、消化機能が高まり食べ物がいっそうおいしく感じられるようになります。また、発音もしやすくなります。歯並びが良くなれば、歯みがきも楽になりよく磨けるので、むし歯や歯周病も減ります。あごの痛みや頭痛、肩こりが治ったという方々もいらっしゃいます。その人たちの痛みの原因は、かみ合わせの不具合だったのでしょう。
もうひとつ大きいことがあります。きれいな歯並びが精神的なコンプレックスを取り除いてくれれば、自信のある明るい生活ができるようになるということです。

さて、次の4つのタイプの歯並びの場合は、歯列矯正が必要となります。

  1. 上顎前突(出っ歯)
    ボールがあたって歯を折ったり、唇を切ることもあります。
  2. 反対咬合・下顎前突(うけ口)
    1.とは逆に下のあごや歯が上あごより前に出ている状態。
  3. 開咬
    奥歯は噛んでいても、前歯がかみ合わず開いている状態。
  4. 叢生(八重歯・乱ぐい歯)
    犬歯が飛び出して、八重歯になったり、歯の向きが違うほうを向いていたりしている状態。

歯は骨としっかりくっついていて、簡単に動くようには見えません。しかし弱い力でも持続的に加え続けることで、案外簡単に動いてしまいます。例として、口呼吸のクセがあり口が常に開いている状態の人は、出っ歯になってしまうことがあります。指しゃぶりの習慣がいつまでも抜けないと、出っ歯や開咬になる恐れが高くなります。抜けた歯のあとを何もせず放っておくと、両隣の歯が抜けた歯の方向に傾いてくるのも同じ理由です。この原理を利用して思った方向に歯を移動させるのが歯列矯正です。1~2、3年(長いときには4、5年)の間、器具をつけて歯を固定し、時間をかけてゆっくり動かしていきます。

歯列矯正は、治療期間も長く、保険がきかないため費用もかかります。矯正した歯が元の位置に戻ってしまうあと戻りなどのトラブルが起こることもあります。治療することを決断する前に医師との話し合いの時間は十分に持ちましょう。矯正によってどこまで治るのか、かみ合わせはどうなるのか、あと戻りの可能性はどうか、などについても説明を受け、納得してから治療に入られることをおすすめします。

矯正相談(毎月最終水曜)

矯正相談(毎月最終水曜)

もっと知りたい親知らず

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『もっと知りたい親知らず』です。

その名の由来は「親が子供の歯への関心が薄くなったころに、知らないうちに生えてくるから」と言われたり、「(昔は短命だったので、)親が亡くなってから生えてくる親を知らない歯」という説もある「親知らず」。今回は、その意外と厄介な親知らずについてです。
ご存じのとおり奥歯の一番奥にはえる第3大臼歯(智歯)のことを親知らずといいます。
上下4本はえるこの歯は、永久歯28本のうちには入りません。
顎がコンパクトになりつつある現代人においては、はえる場所が少なく、正しくまっすぐにはえないことが多い歯です。傾いて前方にはえたり、歯の一部だけが顔をのぞかせていたり、横向きにはえているかと思えば、存在はするもののあごの骨のなかに潜って表面には出てこないこともあります。
結果として、親知らずが歯肉を噛んでしまったり、複雑なはえ方のあまりブラッシングがうまくできなくて、むし歯や周囲炎になりやすくなったりします。またはえ方によっては、他の歯を押して歯並びやかみ合わせに影響を及ぼすことがあります。

親知らずに起きるトラブルとして智歯周囲炎があります。親知らずがうまくはえなかった場合、歯の一部が口のなかに出てきて、残りの部分は歯肉に覆われている状態になります。そのとき歯と歯肉の間に深い袋状のすき間ができてしまうことがあり、このなかで細菌が繁殖してまわりが炎症を起こすという病気です。下の歯の親知らずは、まっすぐ生えにくいことから、智歯周囲炎を起こすことが多くあります。
親知らずは抜かないといけないかというと必ずしもそうではありません。まっすぐにはえ、噛み合う歯がある場合は、そのままで構いません。きれいに磨けているのであれば、噛み合う歯がなくても残しておいてもよいです。のちのちブリッジや入れ歯、移植に使えるかもしれません。
しかし、そのようなケースに当てはまらないときは、かみ合わせや周囲の歯への影響を考慮して抜いてしまった方が良いでしょう。痛みがなくても早めに処置することをおすすめします。痛くなってからだと麻酔も効きにくいし、抜いた後の痛みや腫れも長引くことが多いからです。
また、女性の場合は、妊娠時のつわりで十分栄養が取れないときや授乳期で夜眠れないときなどに、智歯周囲炎の痛みが出ることもあります。治療に際して、お子様への影響を考えると薬の投与もままになりません。

かかりつけの歯科医師と相談して、妊娠前に親知らずも含めてお口まわりの不安を取り除いておきましょう。

歯の「神経を抜く」とは

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は『歯の「神経を抜く」とは』です。

むし歯が悪くなって、歯髄の部分まで侵してしまいひどく痛むときには、一般に「神経を抜く」と言われる抜髄処置(ばつずいしょち)という方法をとることがあります。刺激によって痛みを感じる神経そのものを取り除くので痛みはなくなるし、歯も残るので良い処置のようですが、弊害もいろいろあります。

抜髄処置は神経だけでなく歯髄を取り除く治療なので、神経とともに毛細血管、リンパ管なども失われます。これらの働きは歯へ栄養を供給したり、象牙質を造ったり、むし歯菌が歯に侵入しようとするのを防ごうとする、などというものです。

歯髄を取ることで失ってしまう毛細血管、リンパ管などが果たしていた、歯への栄養供給やむし歯に対する防御機能などが働かなくなってしまいます。結果として、神経を抜いた歯はつやを失い黑ずんできたり、歯の強度も弱くもろくなってしまいます。さらに神経を取ったことで痛みを感じなくなってしまうので、再びむし歯になったときに気がつくのが遅れてしまうケースもあります。また、歯髄を取った後に行う根管治療では、歯髄を取った空洞を徹底的に清掃・洗浄・消毒したあと詰め物をします。しかし長い時間が経つとまた細菌に感染してしまうリスクもあります。

ここまで見てきたように神経を抜いた歯では、神経が残っていて生きている歯とはいくつかの点で違いがありますので、その状況にあわせた気遣いをする必要があります。強い力でくいしばったり、堅いものを噛んだりすると、歯の根の部分にヒビが入ったり、折れてしまったりするリスクがあります。くいしばらず、噛むときはほどほどの力で噛むような意識を持ちましょう。
さらに、むし歯になっても痛みを感じないので気づくのが遅れてしまうということに対しては、従来以上にブラッシングなどのケアが重要になります。見えない部分がむし歯になってしまう危険性もあります。歯科医院で定期検診を受けて早期発見に努めるのが良いかもしれません。治療した歯であればこそ、いたわる気持ちをもつことが大切です。

一本でも多くできるだけ長く歯を残す、という考えのなかで「神経を抜く」治療はその最後の選択肢のひとつであり一般的な治療として行われています。一本でも多くの歯を残して少しでも長く健康でいたいという願いのあらわれなのです。

歯ぐきの腫れと出血

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「歯ぐきの腫れと出血」です。

リンゴをかじったときに歯ぐきから血が出たり、歯みがきをして歯みがき剤を吐き出したら血が混じっていたりと、歯ぐきからの出血で心配になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、どこから出血しているか、またその原因はなにか、よくわからないことも多いと思います。歯ぐきの腫れと出血についてまとめてみました。

ひとくちに歯ぐきから出血した、歯ぐきが腫れている、といっても、いろいろな原因が考えられます。多く見られるケースではやはり歯周病でしょうか。歯周病では歯周病菌が原因で歯ぐきに炎症を起こします。
多くの人が罹りますが、よほど進行するまで痛みもないので気づかずに見落としがちです。しかし、初期の段階の歯周病であれば、ご家庭でのブラッシングと歯科医院でやってもらう歯石取りなどのクリーニングで治すことができます。

気づかずに放っておいて、深い段階まで進んでしまうと外科的な措置が必要となったり、歯がぐらつくようになって、しまいには歯が抜けてしまう厄介な病気です。早めの発見と処置が大切なので、正しいブラッシングを身につけ、歯科医院で定期検診を受け、予防に努めましょう。
歯ぐきの腫れや出血について起こりうる別の原因のひとつに、歯の根の病気があります。むし歯が進行して歯の髄まで達してしまった場合や神経を抜いたあとに細菌が入り込んでしまった場合などに、根の部分が炎症を起こし、それが原因となって歯ぐきが腫れたりするケースです。
歯の根の部分の汚れを取り除く治療が必要ですが、そこは細くて複雑なかたちで、かつ見えない部分なので、汚れを完全に取り除き、そのあとを消毒・封鎖するという治療は難しいものとなります。数回から数カ月の期間がかかる根気のいる治療です。

ほかに歯ぐきが腫れたり出血したりする原因としては、口内炎、力の入りすぎた不適切な歯みがき、歯を抜いたあとにできるくぼみがふさがらずに腫れるドライソケット、歯肉ガンなどがあります。白血病などといった歯ぐきとは直接関係のない全身疾患とのかかわりで起こることもあります。

歯ぐきの腫れや出血といっても、このようにさまざまな原因が考えられます。過剰に心配する必要もありませんが、安易に自己診断することは止めましょう。
また、口内炎がそうであるように少し時間が経つと治まってしまうことも多く、様子見になってしまうことも多いかもしれません。 重大な疾患が隠れていないとも限らないので、1週間程度してもよくならないような場合は、歯科医院で診てもらいましょう。

歯周病を測る~歯周ポケット測定~

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「歯周病を測る」です。

歯周ポケット測定

「音もなく忍び寄る」などと言うことがありますが、歯周病は「痛みもなく忍び寄る」病気です。しかも「ゆっくり忍び寄る」ので、気づくのが遅れがちです。ですから、ご家庭でのブラッシングや、取り切れない歯垢や歯石は歯科医院で除去してもらう、などのプラークコントロールで「予防する」ことが重要です。「歯周ポケット測定」は、歯周の状態を数値であらわせるので、定期的に測定することで歯周病の予防と早期発見を可能にします。

歯周ポケットは、歯肉溝(歯と歯肉の間の溝)が、歯周病により、溝が深くなってしまいポケット状になっている状態を指します。歯肉溝そのものを歯周ポケットと呼ぶこともあります。歯周ポケットの深さは、歯と歯茎の状態が健康であれば通常1~3ミリ程度です。それが、中程度の歯周炎になると3~5ミリ、進行した重度の歯周病では6ミリ以上になります。長い歯の根でも10数ミリであるので、6ミリ以上の溝があると、グラつきなど不安定な感じになるであろうことは、おわかりいただけると思います。

歯周ポケットが何ミリの深さか、ということは自分でわからないでしょうし、測ることもできません。歯科医院に行って「ポケット探針」「ポケットプローブ」と呼ばれる専用の器具で測定します。細い針状の器具で目盛りがついており、これを歯と歯茎の間に入れ、溝の深さを測ります。表裏、端寄り、中央など1本の歯で4~6か所測定します。出血やグラつきもチェックします。痛みは通常ありませんが、腫れがあるとチクッと感じることがあります。

歯周ポケット測定

歯周ポケットが4ミリ以上の歯についた汚れや歯石は、ご家庭でのブラッシングでは取り除くことができません。歯科医院で取り除きます。適切なブラッシングと取りきれない歯垢や歯石を除去する歯科医院での治療を続けていれば、歯周ポケットはだんだんと浅くなってきます。歯周ポケットが浅くなり、歯茎が締まって下がってくると、歯の根が見えてきます。少し心配かもしれませんが、歯茎の腫れが引いて健康な状態に戻ったということなので問題ありません。

歯周病の自覚症状は、かなり進行しないと出てこないので、状態が数字でわかる歯周ポケット測定は、歯周病予防に大きな役割を果たしています。

バイオフィルムを知ろう

皆さんこんにちは、学芸大学駅最寄りの碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「バイオフィルムについて」です。

バイオフィルム

歯ブラシなどのコマーシャルで、最近は「バイオフィルム」という言葉を聞くことも多いですが、それがなにかわかっているかというと、実際にはうまく説明できなかったりする方もいらっしゃるかと思います。

「バイオフィルム」という言葉は、医療や歯科分野の専門用語ではなく、細菌や微生物の研究者たちから出てきた言葉で、さまざまな分野で使われています。われわれの日常生活においてもいろいろな場面で見かけます。例えば、台所やお風呂のヌルヌルした汚れがそうですし、水を入れ替えないでいた花瓶の中側や、川の石についているヌメリとした膜などがバイオフィルムで形成されています。
バイオフィルムは、固いものの表面に微生物が何層も積み重なってヌルヌルとなったものです。そしてバイオフィルムはただの微生物の集まりではなく、集まることで環境が整えられ、微生物たちが居心地よく住めるような構造になっています。内部に水道管のような水路を備えているものもありますし、微生物の分泌物で作られた脂質や多糖体の膜であるヌルヌルやネバネバが表面を覆うことで、殺菌剤や抗菌剤などの彼らにとって「敵」から身を守る役割を果たしています。

バイオフィルムは、環境浄化システムなどで我々の生活に貢献してくれる一面もありますが、配管にバイオフィルムを作り、大腸菌やレジオネラ菌の温床となったり、心臓のペースメーカーやコンタクトレンズについて、感染症を引き起こしたりする負の側面も持ちます。そして、歯周病やむし歯もバイオフィルム感染症といわれるくらい、バイオフィルムと深く関わっているとされています。

台所のヌルヌルが、簡単には落ちなくて、たわしなどでこすってようやく落とせるのと同じように、お口のなかにできているバイオフィルムも、うがいや洗口剤では簡単には落ちません。さらに歯ブラシの届きにくい、歯と歯の間や歯と歯茎の境い目、詰め物やかぶせ物のまわり、入れ歯や差し歯の継ぎ目やすき間といった場所にバイオフィルムはできるので、ブラッシングでも完全に落とすことはできません。この問題を解決するために、歯科医院の定期検診を受けて歯のクリーニングをやってもらうことをおすすめします。器具や専用の歯ブラシを使ってバイオフィルムをこそげ落とします。慣れないうちは場所によっては痛みを感じるかもしれませんが、慣れればスッキリ感があって、気持ちがいいほどです。

定期的に歯のクリーニングをしてバイオフィルムを除去しましょう。

プラークコントロールから始めよう

皆さんこんにちは、学芸大学にある碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「プラークコントロールについて」です。

歯周病治療

歯周病治療でまずはじめにすることは、歯周病の状態の適切な把握です。
そのためにプローピングを⾏います。これは歯周ポケットの測定のことでプロープと呼ばれる細い針を歯周ポケットに⼊れて深さを記録していきます。ほかに歯のぐらつきを調べたり、歯槽⾻の状態を調べるためにレントゲン写真を撮ったりします。

その結果を受けて、治療⽅針を決めていきます。治療の中⼼となるのはプラークコントロールです。これはお⼝のなかの歯垢(プラーク)を適切なレベルに保つことをいいます。プラークコントロールによってプラークのなかに棲む歯周病の原因菌を減らし、繁殖しにくい状態を作り出すことで、これ以上歯周病が進むのを防ぎ、軽度の歯周病であれば元の健康な状態に戻すこともできます。

歯周病治療の基本であるプラークコントロールですが、実際にはどのように⾏うのでしょうか。これは⼤きく⼆つの⽅法に分かれます。ひとつは、患者様⾃⾝の毎⽇のブラッシングを中⼼としたセルフ・プラークコントロール、もう⼀つは、歯科医院で⾏う歯⽯取り(スケーリング)など、プロフェッショナル・プラークコントロールとよばれるものです。

歯⽯は歯にこびりついていて、取り除くことは容易ではありません。なかでも歯周ポケットの内部に付いている歯⽯は歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスといったものを使ってもなかなか取り除くことはできません。スケーリング(スケーラーという器具を使って歯⽯を除去する)やルート・プレーニング(キュレットを使⽤して歯の表⾯を滑沢にする)といった歯科医院での器具や技術を使って、初めて取り除くことができます。

基本であるプラークコントロールを⾏いつつ、歯周病のリスクを⾼めるようなほかの要因(喫煙やお⼝の乾燥、ストレスなど)をできるだけ排除する、ここまでの処置が初期治療(基本治療)となります。この初期治療がしっかりと⾏えないと、次にどんな治療をしても⼗分な効果は得られません。そして、プラークコントロールは、歯周病の治療だけでなく、むし歯や歯周病の予防にも⼤変有効な⽅法でもあります。

歯周病が進⾏すると、深い歯周ポケットの歯⽯を取る場合に切開をしなければならなくなったり、歯⽯剥離掻爬(そうは)⼿術など、外科的治療(歯周外科)が必要なこともあります。歯⽯剥離掻爬とは、患部の歯⾁を剥離し、歯⽯や細菌を取り除き、歯槽⾻や歯⾁を整形する⼿術です。
病気が進⾏してぐらつきがひどくなると、抜歯するしか⽅法がなくなってしまう場合もあります。

⻭周病は知らず知らずにやってくる

皆さんこんにちは、学芸大学にある碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月の「歯の話」は「歯周病について」です。

歯周病はかつては歯槽膿漏と呼ばれることが多かった病気で、症状の進み具合で「歯⾁炎」「歯周炎」などともいわれます。字からわかるように、歯の周りの歯⾁や歯槽⾻など歯を⽀える歯周組織が炎症を起こす病気で、むし歯と違って歯そのものが侵⾷されるというわけではありません。重度の歯周病では歯が抜け落ちてしまうところまでになってしまいますが、その進⾏は遅く、最初は痛みもないので、気づくのが遅れがちになります。

歳を重ねると歯も抜けるという考えは当たり前のようですが、年を取ったら必ず歯が抜けてしまうということではありません。
歯周病に関していえば、若いうちに発症していて、気づかないまま⼗分なケアをしなかったがために、数⼗年後にを失うことがあります。
歯周病の症状のなかで、もっとも軽度なものは「歯⾁炎」と⾔われ、歯⾁に炎症が起こった段階を指します。この炎症によって歯⾁溝という歯と歯⾁の間の溝が深くなります。この溝は歯周ポケットと呼ばれ、ここには歯垢がたまりやすく取り除きにくいので、歯周病菌の繁殖から⾒ると絶好の環境となります。
この歯⾁炎の段階では、ブラッシングのときに出⾎があったり、知覚過敏の症状が出ることがあります。
しかし、症状が進むと、歯と歯⾁の結合部まで溝が深くなり、その付着がはがれてしまう状態(アタッチメントロス=付着の喪失)となり、ますます溝は深くなります。この段階となると元の健全な歯⾁に戻すことは⾮常に困難と⾔わざるを得ません。
歯周ポケットの深さは、歯周病の症状と相関関係が深く、病気の進⾏の⽬安となります。歯⾁が健康な状態であれば、歯周ポケットは1〜3mm程度です。それが歯周病が進⾏すると5mm以上となり、重度になると10mm以上にもなることがあります。
さらに歯周ポケットが深くなり、セメント質、歯根膜といった歯周組織まで炎症が達すると、「歯周炎」と呼ばれる状態となり、もっと進んだ状態になると歯槽⾻という歯の⼟台⾻まで溶かしてしまいます。歯は⼟台を失ってグラグラになり、ついには抜け落ちてしまいます。

歯周病予防についても、⼤切なことは⽇常のブラッシングなど歯とお⼝のケアになります。正しいブラッシングでプラークを取り除き、それでも取り切れない歯垢は、定期的に歯科医院で取ってもらって、歯茎の健康を守りましょう。

歯周病の進行過程

正常な場合

歯周ポケットは1~2㎜
骨のレベルも高く歯肉にも炎症の所見は見られません。

歯周炎

歯周ポケットは2~3㎜
骨の吸収はほとんど見られませんがやや歯肉に発赤と腫脹が見られます。

軽度歯周病

歯周ポケットは3~4㎜
やや骨の吸収が見られ、歯肉にも発赤と腫脹が見られます。また、それに伴ってやや深い歯周ポケットが見られます。

中度歯周病

歯周ポケットは5~6㎜
骨の吸収が歯根の半分程度まで進み、少し歯の動揺が見られます。歯肉の発赤、腫脹がさらに多くなります。

重度歯周病

歯周ポケットは6㎜以上
骨の吸収が進行し歯を支えることが困難になってきます。歯肉の発赤、腫脹がひどくなり出血や排膿も見られます。

歯周病末期

自然に抜けてしまいます

定期検診について

皆さんこんにちは、学芸大学にある碑文谷さくら通り歯科クリニック院長の太田です。
今月から定期的に「歯の話」を公開していきます。今月は「定期検診について」です。

受けていますか? 歯の定期検診(メインテナンス)

皆さんのなかには、歯医者さんというのは、歯が痛くなったり歯茎が腫れたり、「悪くなったら行くところ」だと考える方が少なからずいらっしゃると思います。けれど歯が痛くない状態であっても、定期的に、例えば半年に一回、歯や歯茎をチェックしてもらう、ということをすることはお口の健康のためにとても良いことです。
また、治療を終えて治ったとされる歯であっても、その後も毎日使われ続けると、徐々に状態が変わってきて、歯の手入れや食生活によっては、また治療が必要となってしまうこともあります。治療が終わっているから大丈夫とは言えないのです。

歯の定期検診では、よくPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning=専門家による機械的歯面清掃)という手法を用いて行われます。
その方法を順を追ってみていきます。まずはお口のなかの状態のチェックを行います。
プラークが付着の程度はどうか?
歯茎の色や硬さは?
歯の汚れはないか?
むし歯が新たにできてはいないか?
などをチェックします。このことで日ごろのケアができているかわかるので、十分でない方には口腔ケアの基本であるブラッシング指導を行ったりします。

続いて行うことはクリーニングです。フッ素が含まれる研磨ペーストを塗布したら、柔らかい三角形のプラスチックチップ(歯と歯の間に使います。)や、丸いラバーカップやスケーリングブラシ(歯と歯茎の間の部分)などを使って清掃し、プラークや着色物を落としていきます。研磨ペーストを洗い流して、仕上げにフッ素を塗って終了です。

最後に PMTCによる効果をまとめると次のようになります。

  1. 歯周病の予防
    プラークの除去、歯肉炎の症状改善
  2. むし歯の予防
    バイオフィルムを破壊し、プラークの再付着を防止。
  3. 歯がきれいに
    歯についた着色物(ステイン)の除去、光沢のある歯をつくる。
  4. 歯質の強化
    フツ素入りジェルを使用することで再石灰化を促進し、歯質を強化。

「治療」から「予防」へ歯科医院に行く、新たな習慣としたいものです。